題名 アッティラ
初演 1846年の3月17日 フェニーチェ劇場(ヴェネツィア)
原作 ツァハリアス・ヴェルナーの戯曲『フン族の王アッティラ』
台本 フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ
演奏時間 1時間45分

『アッティラ(Attila) 』は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)の9作目ののオペラです。

このオペラは、実在した王アッティラを主人公としています。
アッティラは5世紀を生きた人物で、フン族(遊牧民)の王です。
現在のロシア・東欧・ドイツを結ぶ大帝国を築き上げ、帝国の最盛期を築き上げました。

 出生は不明ですが、モンゴル系民族と考えられています。またアッティラの死後しばらくて、フン帝国は崩壊します。

この頃、ヴェルディは多忙を極めており、疲労はピークに達しリウマチの症状も悪化します。
そしてこのオペラの初演後に、ヴェルディは数ヶ月の休養をとりました。
そんな中、休養中に構想を練って完成した次回作が傑作『マクベス』となります。

ここではヴェルディのオペラ『アッティラ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物 詳細
アッティラ(バス) フン族の王
エツィオ(バリトン) ローマ将軍
フォレスト(テノール) アクイレイアの騎士
オダベッラ(ソプラノ) アクイレイアの領主の娘、フォレストの恋人
ウルディーノ(テノール) アッティラの奴隷
レオーネ(バス) ローマの老人

『アッティラ』簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
【プロローグ~第2幕】
5世紀半ば、フン族は勢いを増し中央アジア、ドイツ、黒海、バルト海を手中に収めています。
そしてイタリアにも進出し、ローマも危機に陥ろうとしています。

アッティラ(フン族の王)は、強硬な態度で勢力を強めていきます。
そこにエツィオ(ローマ将軍)・フォレスト(イタリアの騎士)・オダベッラ(フォレストの恋人)らが復讐を誓います。
【第3幕】
アッティラはオダベッラを花嫁として迎えます。
しかし、オダベッラがアッティラを裏切り、アッティラを刺します。

復讐が成し遂げられ、オペラが終わります。

プロローグ:『アッティラ』あらすじ

アッティラ軍の猛威の中、オダベッラが復讐を誓う

アクイレイア(イタリア北東部の都市)の広場
フン族が戦争でアクイレイアを制圧し、アッティラ(フン族の王)が勝利を叫んでいます。

 フン族は中央アジア、ドイツ、黒海、バルト海を手中に収め、イタリアにも進出してきています。そしてローマにとっても脅威の存在となっています。

そこにウルディーノ(アッティラの奴隷)が敵の女戦士たちを献上しに現れます。
女戦士の一人オダベッラは「祖国のために、私たちイタリアの女性は戦った!」とアッティラに語ります。(Santo di patria... Allor che I forti corrono)

『Santo di patria... Allor che I forti corrono』

アッティラはその勇気に感銘を受け、オダベッラに自らの剣を授けます。
オダベッラはその剣での復讐を決意し、女戦士たちとその場を去っていきます。

アッティラが「ローマとの同盟」を断る

続いて、エツィオ(ローマ将軍)が現れます。
エツィオは「同盟を結んで、イタリアは私に任せてくれないか?」とアッティラに頼みます。

アッティラは「誰も私を止められない。」と同盟を断り、エツィオは怒って去っていきます。

フォレストが恋人オダベッラを想い、復活を誓う

アドリア海(イタリア半島の東側の海)の干潟にある湿地帯
アクイレイアの人々が、フン族の侵略から逃げてきています。
そこにはフォレスト(アクイレイアの指揮官)の姿もあります。

フォレストは「オダベッラはあの野蛮人(アッティラ)に捕らえられてしまった!」と恋人オダベッラを想い歌います。(Ella in poter del barbaro!)

『Ella in poter del barbaro!』

皆はフォレストを励まし、フォレストたちは「不死鳥はあらたに蘇るのだ!」と再起を高らかに叫びます。

第1幕:『アッティラ』あらすじ

フォレストとオダベッラが「アッティラへの復讐」を誓う

アッティラの陣営地近くの森
オダベッラが捕えられています。
そこに恋人フォレストが現れます。

フォレストは「オダベッラがアッティラの愛人になった」と勘違いしていましたが、やがて誤解が解けます。
二人は愛を再確認し、アッティラへの復讐を誓います。

アッティラがローマへの進軍を決意する

アッティラのテント
アッティラが夢にうなされています。
アッティラは「ローマで、老人が私の髪をつかみ"お前が鞭を打てるのは人間だけだ。立ち去れ、ここは神の土地だ!"と叫んだ。」とウルディーノに悪夢を語ります。

しかし、やがて気を持ち直すと、アッティラはローマへ出陣を決めます。

アッティラに不吉な未来が予言される

アッティラの陣営
アッティラ陣営はローマへ進軍しようとしています。
そこに老人レオーネが現れます。

レオーネは、悪夢と同じ言葉(お前が鞭を打てるのは人間だけだ。立ち去れ、ここは神の土地だ!)をアッティラに浴びせます。
アッティラは「悪夢が現実となった」ことに怯え、「ああ、やめろ!王は神々の前ではひれ伏すのだ!」と歌います。

第2幕:『アッティラ』あらすじ

フォレストの進言で、エツィオが「アッティラへの復讐」を決意する

エツィオの陣営
エツィオ(ローマ将軍)に「フン族(アッティラ)との休戦」の命令が入ります。
エツィオは「惨めな死体のようになってしまったローマ」を嘆き、怒ります。
(Tregua è cogl'Unni...Dagl'immortali vertici)

『Tregua è cogl'Unni...Dagl'immortali vertici』

そこにアッティラの奴隷たちが現れます。
アッティラの奴隷は「エツィオ様、アッティラ様の陣営に来てください。アッティラ様がお呼びです。」とエツィオに伝えます。

エツィオは受け入れようとしません。
しかし、奴隷に交じっていたフォレストが現れ「一緒にアッティラを殺害しよう。」とエツィオに復讐計画を打ち明けます。

エツィオは「アッティラの殺害計画」に同意し、アッティラの招待を受けることにします。
そして、エツィオは復讐を強く決意します。
(È gettata la mia sorte)

『È gettata la mia sorte』

「休戦を祝う宴会」が開かれている

アッティラの陣営
エツィオがアッティラ陣営に招待を受け、「休戦を祝う宴会」が開かれています。
神官たちが「見知らぬ外国人と席を共にしてはいけません。不吉な予言が出ています。」とアッティラに忠告します。

しかしアッティラはそれを一蹴し、気にも留めません。

アッティラが「オダベッラを王妃にする」ことを決める

やがてアッティラに「祝いの杯」が運ばれてきます。

するとオダベッラが「王様、ダメです!毒が…!」と叫びます。
アッティラが「誰が毒を盛った!?」と問うと、フォレストが名乗り出ます。

アッティラは剣を抜きますが、オダベッラが制止に入り「私に処罰を任せてください。」と語ります。
アッティラはその勇気を褒めたたえ、「オダベッラ、明日からは私の花嫁だ!」と褒美を与えます。

オダベッラはフォレストに「逃げて、愛しい人!」と語ります。
それに対し、フォレストは「復讐の日まで一人で生きるよ。後悔するぞ!」と返します。

 フォレストは「オダベッラが自分を裏切った」と勘違いしています。

第3幕:『アッティラ』あらすじ

オダベッラが花嫁衣裳で逃げ出してくる

アッティラの陣営地近くの森(アッティラ陣営とエツィオ陣営の境目)
ウルディーノが「花嫁(オダベッラ)の列が、動き出したぞ。」とフォレストに告げます。
フォレストは「不実な女め!」と怒りをあらわにします。

そこにオダベッラが花嫁衣裳で駆け込んできます。
オダベッラが潔白を訴えますが、フォレストは聞く耳を持ちません。
エツィオも「今は嫉妬している場合じゃない!」と諭しますが、場はおさまりません。

オダベッラがアッティラを剣で刺し、復讐が成される

やがてアッティラが「オダベッラを連れ戻し」に現れます。
アッティラが皆をなじっていると、遠くから「死だ、死だ…復讐だ!」と声が聞こえます。

それは「ローマ軍の急襲」の知らせでした。
アッティラが「裏切者!」と叫ぶと、オダベッラは「父への生け贄を!」と叫びアッティラを剣で突き刺します。

アッティラが「お前もか、オダベッラ…」と倒れ、皆が「神、民、王よ!復讐は成されたのだ!」と叫びオペラが終わります。