項目 データ
初演 1874年4月5日 アン・デア・ウィーン劇場
原作 アンリ・メイヤックとリュドヴィック・アレヴィの喜劇『真夜中の晩餐』(ベンディックスの喜劇『牢獄』より)
台本 カール・ハフナー、リヒャルト・ジュネ
演奏時間 1時間50分

こうもり(Die Fledermaus)』は、ヨハン・シュトラウス2世(Johann Strauss II/1825年-1899年)によって作曲されたオペレッタです。
シュトラウス2世は「オペレッタ王」とも呼ばれ、オペレッタの他にも『美しく青きドナウ』『ウィーンの森の物語』『皇帝円舞曲』などの傑作ワルツを作曲しました。

ドイツ語圏のオペラハウスでは、『こうもり』は大晦日のイベントとして上演されることもしばしばです。
また、そのストーリー性から各国の言語で演奏されることもあり、日本では日本語で上演される機会も多くあります。

ここではシュトラウス2世のオペレッタ『こうもり』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

アイゼンシュタイン(バリトン):金持ちの銀行家
ロザリンデ(ソプラノ):アイゼンシュタインの妻

アルフレード(テノール):声楽教師、ロザリンデの昔の恋人
ファルケ博士(バリトン):アイゼンシュタインの友人
アデーレ(ソプラノ):ロザリンデの小間使い

オルロフスキー公爵(メゾソプラノ):ロシアの貴族
フランク(バス):刑務所長
ブリント(テノール):アイゼンシュタインの弁護士
etc

※声種は表記と異なる場合アリ

『こうもり』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単なあらすじ

 オペレッタがはじまる前のストーリー
ファルケは、友人のアイゼンシュタインと仮装パーティに参加しました。
そこでファルケは「こうもり」の格好をしました。
酔いつぶれたファルケは街中に置き去りにされ、こうもり姿のままで寝てしまい、恥をかきます。

ファルケが実行する「恥の復讐」が、この「こうもり」の物語の内容です。

復讐の舞台は仮面舞踏会のパーティーです。
話の内容は「すべてコメディ」で、悲しい話は一切ありません。

主要人物のそれぞれのストーリー

【ファルケ】
アイゼンシュタインに恥をかかせられたことで、彼に復讐を企んでいます。
皆をパーティーに参加させるように仕向けて、最後にアイゼンシュタインをギャフンと言わせます。
【アイゼンシュタイン】
役人を叩いた罪で刑務所に入ることになっています。
刑務所に行く前にパーティーに参加し、自分の妻(ロザリンデ)を妻と気づかずにナンパしてしまいます。
最後に妻に謝罪し許されます。
【アデーレ】
アイゼンシュタイン家の女中で、彼女もパーティーに参加します。
彼女は「女優」になることが夢です。
最後にパーティーの主催者、オルロフスキーが彼女のパトロンになってくれます。

第1幕:『こうもり』のあらすじ

「Overture」

誰もが耳にしたことのある「序曲」でオペレッタは始まります。
そして幕が上がると同時に、ロザリンデのかつての恋人アルフレードが遠くから歌うのが聞こえます。

アイゼンシュタインの家

アデーレに「パーティの招待状」が届く

アデーレ(ロザリンデの女中)に「オルロフスキー公爵邸のパーティーのお誘い」の手紙が届き、アデーレがそれを読んでいます。

そこにロザリンデが登場します。
アデーレはパーティーに行くために「伯母が病気なので休みを下さい。」と嘘をついてお願いします。
しかしロザリンデが休みを認めないので、アデーレは泣きながら退場していきます。

ロザリンデが元・恋人アルフレードにナンパされる

入れ替わりでアルフレードが登場し、ロザリンデに愛を歌います。
ロザリンデは「私は結婚しているから、出ていって」と言いいますが、アルフレードはしつこく付きまといます。
ロザリンデが「夫が刑務所に入ったら、また会う。」と約束すると、ようやくアルフレードは退場します。

 夫のアイゼンシュタインは、役人を叩いた罪で今晩刑務所に入ることになっている。

アイゼンシュタインが拘留期間が延びて怒っている

アイゼンシュタインが弁護士ブリントと登場し「こいつのせいで拘留期間が延びた!」と激しく非難します。
アイゼンシュタインとロザリンデはブリントを責め、ブリントは「次は成功する!」と言い残し去っていきます。

ファルケとアイゼンシュタインがパーティーに出発

続いて、友人ファルケが登場します。
そしてロザリンデがいない隙に、ファルケはアイゼンシュタインに「刑務所に入る前に、パーティに寄っていこう!」と誘います。
二人はパーティーに気持ちを高まらせて陽気に踊り、ファルケは退場します。

アイゼンシュタインは社交界用の衣装に着替え、嬉しそうに刑務所(パーティー)に出発します。

アデーレが再び休暇を頼みに、ロザリンデのもとに現れます。
ロザリンデはアデーレに休暇を許し、アデーレもパーティーに出発します。

「So muss allein ich bleiben」(悲しいふりをしているが、皆がそれぞれの嬉しさを隠しきれない。)

アルフレードが人違いで刑務所に連行される

アルフレードが再び登場し、アイゼンシュタインのガウンを着て陽気に酒を飲んでいます。

そこに刑務所長フランクが登場し、アイゼンシュタインを連行しに来ます。
ロザリンデは浮気を疑われたくないので、アルフレードをアイゼンシュタインだと紹介します。

フランクは、人違いでアルフレードを刑務所に連行していきます。

第2幕:『こうもり』のあらすじ

オルロフスキー公爵邸主催のパーティーが開かれている

華やかな舞踏会が開かれています。
そんな中、主催者であるロシアの貴族、オルロフスキー公爵は人生に退屈しています。
ファルケが「それでは"こうもりの復讐"という喜劇をお見せしましょう」と、オルロフスキーに語ります。

 こうもりの復讐とは?
4年前の舞踏会の帰り、酔っぱらったファルケはこうもりの格好をしたまま、路上に置き去りにされてしまいました。
翌朝目覚めると野次馬が集まっており、ファルケは皆の笑いの種となってしまいます。
それ以来ファルケ(こうもり)はアイゼンシュタインに復讐の機会を狙っているのです。

それぞれが偽名で参加

舞踏会にはアデーレがロザリンデの衣装を着て、「女優オルガ」と偽って参加しています。

ファルケはアイゼンシュタインを「フランス貴族ルナール公爵」として、オルロフスキーに紹介します。
オルロフスキーは「皆さん、ご自由になさってください。」と皆に向かって歌います。(Ich lade gern mir Gäste ein)

その時、アイゼンシュタインは「女優オルガ」を見つけます。
そして、「うちの女中がいる。しかも、妻のドレスを着ている!」と驚きます。
アデーレは「女中と間違えるなんてバカげてるわ!」と歌います。(Mein Herr Marquis, ein Mann wie Sie)

「Mein Herr Marquis, ein Mann wie Sie」

続いて刑務所長フランクが、フランスの騎士シャグランとしてオルロフスキーに紹介されます。
アイゼンシュタイン(偽名:ルナール公爵)とフランク(偽名:シャグラン)は、不慣れなフランス語で会話します。

ロザリンデが仮面をつけて登場

そこにロザリンデが「ハンガリーの貴婦人」として、仮面をつけて登場します。
アイゼンシュタインは自分の妻と気付かずに「時計を女性を落とす武器として使い」、彼女を口説き始めます。
しかし、その時計をロザリンデに取り上げられてしまいます。

その後、ロザリンデは「ハンガリー人ではないのでは?」と疑われるので、ハンガリーの歌「チャルダッシュ」を歌って皆を納得させます。(Klänge der Heimat, Ihr Weckt Mir das Sehnen)

皆がシャンパンを片手に「シャンパンの歌」を歌ったところで、舞踏会は最高の盛り上がりを迎えます。
そして、ファルケが「みんなで一つになろう」と最後に歌いあげます。

「シャンパンの歌」

その時、時計の鐘が鳴りだします。
アイゼンシュタインは慌てて刑務所に向かいます。
そしてフランクも勤務のために急いで刑務所へ向かいます。

第3幕:『こうもり』のあらすじ

刑務所

アルフレードは「アイゼンシュタインの代わりに」収監され、刑務所で陽気に歌を歌っています。
刑務所長フランクが、パーティーの余韻に浸りながら帰ってきます。

そこにアデーレと姉妹イーダが訪問してきます。
アデーレはフランクに「私は本当は女中なの。女優になりたいから手伝ってほしい。」と頼みます。

フランクが「才能あるの?」と疑うので、アデーレは「役を演じて」その才能を証明します。(Spiel ich die Unschuld vom Lande)

アイゼンシュタインが刑務所を訪れ、フランクと再会する

アイゼンシュタインが弁護士ブリントと収監されるために登場します。
そこに舞踏会で出会ったフランク(偽名:シャグラン)がいるので驚きます。
フランクもアイゼンシュタイン(偽名:ルナール公爵)が来たので驚きます。

彼らは自分たちの本当の姿を打ち明ける。

しかし、フランクは「アイゼンシュタインは既に刑務所に入っている。」と語ります。
アイゼンシュタインは「自分になりすましているのは誰か」を暴くために、弁護士の格好をしてブリントになりすまします。

ロザリンデも刑務所に登場する

刑務所にロザリンデも登場します。
そして彼女とアルフレードは、「アイゼンシュタインにばれない方法はないか?」と、弁護士の格好をしたアイゼンシュタインに相談します。
初めは怒りを我慢していたアイゼンシュタインでしたが、ついに我慢できなくなり「私がアイゼンシュタインだ!」と正体を明かします。

アイゼンシュタインは彼女の浮気を責め立てますが、「この時計は何?」と彼女が舞踏会の時計を取り出すと形勢は逆転します。

「こうもりの復讐」完結

そこにファルケも登場して、アイゼンシュタインに「これらは私が仕組んだものだよ。」と語ります。
皆も「私たちは、皆でそれを演じました」と続き、アイゼンシュタインに語り掛けます。

アデーレは女優を目指し、オルロフスキーがパトロンになってくれることとなります。
アルフレードの浮気は、流れに乗って「こうもりの復讐」の一部とされます。

最後にアイゼンシュタインが許しを請い、ロザリンデは彼を許します。
「すべてシャンパンのせいだわ」と皆で歌い、すべてが水に流されて幕が下りる。

シュトラウス2世『こうもり』の映像

ドミンゴ&コヴェント・ガーデン王立歌劇場、プライ、テ・カナワ
1984年コヴェント・ガーデン、ロイヤル・オペラ・ハウスの映像で、指揮は3大テノールでお馴染みのプラシド・ドミンゴが務めています。
ヘルマン・プライ(アイゼンシュタイン)、キリ・テ・カナワ(ロザリンデ)ら往年の名歌手が堪能できる名盤です。
スタンダードな演出で楽しめますので、「こうもり」の初めての1枚としてもオススメです。

ロザリンデ:キリ・テ・カナワ
アイゼンシュタイン:ヘルマン・プライ

コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:プラシド・ドミンゴ

第2幕:パーティのゲスト
シャルル・アズナヴール(シャンソン歌手)
メール・パーク(英国ロイヤル・バレエ)
ウェイン・イーグリング(英国ロイヤル・バレエ)