目次
項目 | データ |
---|---|
作曲 | 1854年 |
初演 | 1869年 |
台本 | リヒャルト・ワーグナー |
演奏時間 | 2時間30分 |
リヒャルト・ワーグナーの『ラインの黄金(Das Rheingold)』は、『ニーベルングの指環』4部作の「序夜」に当たります。
『ニーベルングの指環』は、
・序夜 『ラインの黄金』(Das Rheingold)
・第1日 『ワルキューレ』(Die Walküre)
・第2日 『ジークフリート』(Siegfried)
・第3日 『神々の黄昏』(Götterdämmerung)
の4部からなり、上演に約15時間も要する大作です。
台本は、北欧神話の物語を基としたワーグナーの独自の世界観が描かれています。
すべてを作曲するのに26年もの歳月をかけ、全曲初演は1876年8月13日にようやくおこなわれました。(第1回バイロイト音楽祭)
このバイロイト音楽祭は、『ニーベルングの指環』を上演するためにワーグナー自らが創設した音楽祭です。
ここでは、そんなワーグナー『ラインの黄金』のあらすじを紹介したいと思います。
【4部作すべての概要はこちらから】
登場人物
【神々】
ヴォータン(バリトン):神々の長。北欧神話のオーディン
ローゲ(テノール):火の神、半神。北欧神話のロキ
フリッカ(メゾソプラノ):ヴォータンの妻、結婚の女神。北欧神話のフリッグ
フライア(ソプラノ):フリッカの妹、美の女神。北欧神話のフレイヤ
エルダ(アルト):知恵の女神
フロー(テノール):幸福の神。北欧神話のフレイ
ドンナー(バリトン):雷神。北欧神話のトール
【地上の巨人族】
ファーゾルト(バス):巨人族
ファーフナー(バス):巨人族、ファーゾルトの弟
【地底のニーベルング族のこびと】
アルベリヒ(バリトン):ニーベルング族の小人
ミーメ(テノール):ニーベルング族の小人、アルベリヒの弟
【水の精ラインの娘】
ヴォークリンデ(ソプラノ):ラインの娘
ヴェルグンデ(メゾソプラノ):ラインの娘
フロースヒルデ(アルト):ラインの娘
『ラインの黄金』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
「ラインの黄金」から作られた指輪を手にした者は、"限りない力"を手にします。
この物語は、その指輪をテーマとしています。
【第1場】アルベリヒ(地底人)がライン川の底にある「ラインの黄金」を盗み、指輪を作ります。
【第2場】天上では、巨人族が城の建設を完成させています。その報酬として、ヴォータン(神)らに指輪を要求します。
【第3場】ヴォータン(神)らが、アルベリヒから指輪を奪います。
【第4場】怒ったアルベリヒが、指輪に"死の呪い"をかけます。指輪を手にした巨人族は、死の呪いで殺し合いをしてしまいます。最後に神々が、完成した城に入城していきます。
第1場:『ラインの黄金』のあらすじ
人間が誕生する前の時代、ライン川の底
ラインの娘たちが「ラインの黄金」を守っている
ラインの娘たちが遊んでいます。
その場所で、娘たちは父親から「ラインの黄金」の番人をまかされています。
そこに地底ニーベルング族のこびとアルベリヒが現れます。
アルベリヒは娘たちの可愛さに惚れ、彼女たちに近づこうとします。
しかし、娘たちは醜い彼を「気味が悪い」と蔑み、軽くあしらいます。
アルベリヒは、コケにされたことに怒ります。
アルベリヒが「ラインの黄金」を盗み出す
その時、太陽の光が水中にまで差し込み「ラインの黄金」が照らされます。
アルベリヒが「それは何だ?」と尋ねると、娘の一人が「ラインの黄金から指輪を作った男は、限りない力が与えられる。」「そして指輪を作るには、愛の力を断念することが必要だ。」と口を滑らせます。
アルベリヒは「世界の全てが私のものになるのか」と語り、とっさに愛を断念し「ラインの黄金」を奪います。
そして笑いながら地底へと逃げていきます。
第2場:『ラインの黄金』のあらすじ
ライン川を見下ろす山上の空地。
ヴァルハルの城の完成
ヴォータンとその妻フリッカが眠っています。
フリッカが目を覚ますと、ヴァルハルの城が完成していることに気づきます。
そして、夫のヴォータンを起こします。
ヴォータンは城が完成したことを喜びますが、フリッカは「城の建設の報酬として、妹フライアを渡す契約」をしたことに不安を覚えます。
そこに城を建設した巨人族の兄弟(ファーゾルトとファーフナー)が現れ、報酬として妹フライアを要求します。
ヴォータンは契約の変更を求めますが、巨人は受け入れません。
巨人が城の報酬に「ラインの黄金」を要求
ヴォータンは助言を求めるために、火の神ローゲの到着を待ちます。
ようやくローゲが到着しますが、彼は「フライアの代わりになる価値のあるものはない。」と言います。
しかし、その後にローゲが「アルベリヒがラインの黄金を盗んだ話」をすると、それに巨人が食いつきます。
アルベリヒは既に指輪を作り終え、絶大な権力を手にしたことが伝えられます。
ニーベルング族と確執のある巨人は、フライアの代わりに「ラインの黄金」を要求します。
そして、それまでの人質としてフライアを連れて行きます。
神々は"フライアが作った若返りのリンゴ"が食べられなくなり、若さを失い始めます。
ヴォータンとローゲは、指輪を奪うために地底へとむかいます。
第3場:『ラインの黄金』のあらすじ
地底のニーベルハイム
アルベリヒが権力を手にし乱用している
指輪の魔力を手にしたアルベリヒが地底を支配しています。
アルベリヒが弟ミーメの両耳を引っ張り、いじめています。
アルベリヒは、注文していた「隠れ頭巾」をミーメから取り上げます。
そして「隠れ頭巾」を被り姿を消し、ミーメを再び痛めつけます。
アルベリヒは「お前たちは永遠に私に従うのだ」と叫び、その場を去ります。
ヴォータンとローゲが、アルベリヒを捕える
そこに、ヴォータンとローゲが現れます。
ミーメは2人に「アルベリヒへの不満」を語ります。
そこにアルベリヒが現れ「この頭巾は自分の思いのままに姿を変えられる。」と自慢します。
ローゲはそれを「信用できない」と言うと、アルベリヒは大蛇に変身します。
皆は驚きますが、ローゲは「体を大きくできても、小さくはできないだろう。」と話します。
するとアルベリヒは蛙に変身します。
その瞬間、ローゲはアルベリヒを捕まえます。
アルベリヒは縛り上げられます。
そして山上の空地まで連れていかれます。
第4場:『ラインの黄金』のあらすじ
ライン川を見下ろす山上の空地。(第2場と同じ)
アルベリヒが指輪に"死の呪い"をかける
アルベリヒはヴォータンに財宝をすべて取り上げられ、さらには指輪まで取り上げられてしまいます。
アルベリヒは財宝と引き換えに自由の身となります。
アルベリヒは指輪に「指輪を持つ者に死を作り出せ」と呪いをかけ、姿を消します。
エルダの警告で、ヴォータンが指輪を手放す
そこに巨人族(ファーゾルトとファーフナー)が現れます。
巨人族は、城の建設の報酬としてアルベリヒの財宝を受け取ります。
しかしそれだけでは納得せず、指輪も要求します。
ヴォータンは、それを断ります。
そのとき辺りが暗くなり、知恵の女神エルダが現れます。
エルダは「指輪はあなたを破滅へと追い込む。」と警告します。
ヴォータンは巨人たちに指輪を渡し、妹フライアは解放されます。
"死の呪い"で巨人族が殺し合いをしてしまう
巨人たちは指輪を手にすると、指輪の取り合いをはじめます。
そして指輪の呪いにより、巨人の一人がもう一人を殺します。
そして財宝をすべて手にし、城から去っていきます。
ヴォータンたちは、指輪の呪いに恐れおののきます。
城に虹がかかり、神々が入城していく
ようやくフライアが解放され、神々は喜びます。
フローが城へ虹の橋をかけ、ヴォータンたちは橋を渡り城へ入っていきます。
ライン川の底から娘たちの嘆き声が聞こえたところで幕は下ります。
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