項目データ
作曲1822年作曲開始
初演1865年
演奏時間約20分

フランツ・ペーター・シューベルト(Franz Peter Schubert/1797年~1828年)の交響曲第7番は、1822年に作曲した未完の交響曲である「未完成」の愛称でも親しまれています。

かつては交響曲第8番と呼ばれていましたが、近年では交響曲第7番と呼ばれることが多くなっています。
ですので、ややこしいですが、「交響曲第7番 (未完成)」も「交響曲第8番 (未完成)」も同じ作品であります。
旧第8番と呼ばれることもあります。

交響曲第7番は映画「未完成交響曲」で取り扱われたことでも知られています。
映画「未完成交響曲」は文字通りシューベルトを主人公とし「交響曲第7番 (未完成)」にスポットを当てた作品です。
史実を忠実に再現した映画ではなくフィクションですが、観る人の心を揺さぶる映画としてヒットしました。

ここではそんなシューベルト「交響曲第7番 (未完成)」の解説と名盤を紹介したいと思います。

1822年作曲だが、初演1865年

「交響曲第7番 (未完成)」は1822年に作曲されましたが、初演がおこなわれてのは1865年でした。
それはこの未完成の楽譜が発見されてなかったことにあります。
シューベルトの死後37年も経ったころに、指揮者であるヒュッテンブレーナーの机の中から発見されました。
この奇跡も「未完成」の人気の高い理由の一つかもしれません。

第一楽章と第二楽章だけしか書かれていない

未完成と言われるくらいですので、作品は完成していません。
第一楽章と第二楽章だけが残されています。

シューベルトが25歳にしてグラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与されました。
「交響曲第7番 (未完成)」はこのお返しに作られたと言われています。

残念ながら未完成の理由はいまだにわかっていません。
ただシューベルトは作品の納得がいかないと完成させないまま終わらせていることがしばしばあります。
このことから推測するに、この「未完成」が未完成である理由はもしかすると大きな意味はないのかもしれません。

schubert

生前は無名のシューベルト

若くしてグラーツ楽友協会から「名誉ディプロマ」を授与されるほどの音楽家であったシューベルトですが、生前は無名の存在でした。
元々世渡りが上手くなかったうえに、31歳という短い生涯だったのも関係しているかもしれません。

また偉大な音楽家たちと重なってしまったこともシューベルトにとっては不幸でした。
ウィーン郊外のリヒテンタールで生まれたときには、モーツァルトやベートーヴェンはまだ生きており彼らの陰にシューベルトは隠れてしまったのです。
またオペラの偉大な作曲家として知られているロッシーニも絶頂期でした。
シューベルトとベートーヴェンにいたっては亡くなった年が1年しか変わらず、まさに同じ時代を生きた作曲家だと言えます。

初演時は大作曲家として知られる

ただシューベルトの作品の素晴らしさは死後に評価され、「交響曲第7番 (未完成)」が初演された1865年にはシューベルトは既に名声を得ていました。

彼の才能と作品から比べると、評価されるのは遅すぎたのかもしれません。
シューベルトは生きている間に正式なコンサートはただの1度も開けなかったとも言われています。
貧しい生活の中で友人たちの助けを得て、内輪のコンサートを開くのがシューベルトの音楽生活でした。
ただ苦しんだ様子の記録も特別残されていないため、もしかするとシューベルトは平凡な生活を好んだのかもしれません。

曲の構成

未完成の第3楽章を含めて3楽章で構成されています。

第1楽章 Allegro moderato

低音弦楽器のメロディーをオーストリアの指揮者、ワインガルトナーは「地下の世界のように」と表現しました。
冒頭の有名な動機は主要主題に発展し、この作品の最後まで影響を与えています。
盛り上がりの後に第1楽章はロ短調の和音で終わりますが、ロ短調は当時としては珍しいものでした。

第2楽章 Andante con moto

第3楽章が未完のため、コンサートでは第2楽章までが演奏されます。
木管楽器にのせてヴァイオリンが美しい第1主題を奏でます。
その後木管楽器によって演奏される美しい旋律も聴きどころです。
ホ長調で演奏されていますが決して明るいばかりではなく、愁いが含まれています。
盛り上がりをみせた後、最後は静かに終わります。

第3楽章 Allegro (未完)

未完の楽章で20小節目までが作曲されており、ピアノスケッチによって主部が114小節まで書かれています。

交響曲第7番(未完成)のオススメ名盤

名盤として名高い1963年・1966年のベームとベルリンフィルによる録音です。
研ぎ澄まされた演奏で、かつドイツ的なシューベルトの演奏としても評価されています。

近年聴くことができる軽やかなシューベルトとは違った、スケールの大きい力強い演奏が堪能できます。

【収録曲】
シューベルト:交響曲第7[8]番(未完成)/1966年2月録音
シューベルト:交響曲第8[9]番(グレート)/1963年6月録音

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:カール・ベーム

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