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邦題 | アンドレア・シェニエ |
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初演 | 1896年3月28日 ミラノ・スカラ座 |
原作 | ジュール・バルビエの小説『アンドレ・シェニエ』 |
台本 | ルイージ・イッリカ |
演奏時間 | 2時間弱 |
ウンベルト・ジョルダーノ(Umberto Giordano/1867年-1948年)のオペラ『アンドレア・シェニエ(Andrea Chénier)』は、ヴェリズモ・オペラの傑作として知られている彼の代表作です。
ジョルダーノは1890年にソンゾーニョ社の一幕物オペラ・コンクールに作品(作品名:マリーナ/Marina)を応募します。
結果は落選してしまいましたが、ソンゾーニョ社より才能を見出されます。
そしてようやく成功した4作目のオペラが『アンドレア・シェニエ』でした。
『アンドレア・シェニエ』は実在した人物を描いた作品で、台本はアルベルト・フランケッティ(貴族出身の作曲家)から無償で譲り受けたものでした。
貴族出身で競争意識が低いせいか、フランケッティはプッチーニに『トスカ』の台本も無償譲渡しています。
ここではジョルダーノのオペラ『アンドレア・シェニエ』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
登場人物 | 詳細 |
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アンドレア・シェニエ(テノール) | 詩人。 |
マッダレーナ・ディ・コワニー(ソプラノ) | 伯爵家の令嬢。シェニエに恋する。 |
カルロ・ジェラール(バリトン) | 伯爵家の召使。後に革命政府の一員。 |
ルーシェ(バス) | シェニエの友人。 |
コワニー伯爵夫人(メゾソプラノ) | マッダレーナの母親 |
ベルシ(メゾソプラノ) | マッダレーナの召使。 |
マデロン(メゾソプラノ) | 老女 |
アンドレア・シェニエとは?
アンドレア・シェニエは(1762年-1794年)は、フランス革命の頃の詩人で、ロマン主義文学運動の先駆者のひとりとして知られています。
シェニエは、恐怖政治が終わる3日前に「国家反逆罪」で斬首刑となりました。
『アンドレア・シェニエ』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
【第1幕】フランス革命直前
伯爵家のパーティーで、シェニエは「貴族を批判し、愛を賛美する詩」を披露します。
それを聞いた伯爵令嬢マッダレーナは、シェニエに恋します。
【第2幕】フランス革命の最中
シェニエとマッダレーナは再会し、二人は恋に落ちます。
しかしシェニエが革命政府に捕まり、死刑が宣告されてしまいます。
そこで、マッダレーナは「見知らぬ女性死刑囚の身代わり」となり一緒に死ぬことを決意します。
二人が永遠の愛を誓い、一緒に死刑台に運ばれる中でオペラが終わります。
第1幕:『アンドレア・シェニエ』あらすじ
伯爵家でパーティーが開かれている
パリ郊外:コワニー伯爵家
1789年(フランス革命勃発の年)
伯爵家では、パーティーの準備がおこなわれています。
ジェラール(召使)は父親(60年間召使として従事している)が働く後姿を見ながら、貴族の派手な生活を批判します。
一方で、ジェラールは伯爵家の娘マッダレーナを密かに愛しています。
シェニエが貴族を批判し、愛の大切さを訴える
やがて伯爵夫人やマッダレーナ、客人たちも現れ、シェニエ(詩人)も登場します。
伯爵夫人はシェニエに話しかけますが、不愛想なシェニエは少し偏屈な態度をとります。
その様子を見たマッダレーナは「あの人に詩を読ませてみよう!」とシェニエを挑発します。
シェニエが「詩は恋のように気まぐれなもの…」と返すと、マッダレーナは彼をからかいます。
憤慨したシェニエは「恋がどういうものか、お目にかけましょう!」と詩を歌います。(Un di all'azzurro spazio)
"Un di all'azzurro spazio"
マッダレーナがシェニエに恋心を持ち、ジェラールも彼の考えに共感する
それに対し貴族は拒否反応を示しますが、マッダレーナはシェニエに恋心を覚えます。
さらにジェラール(召使)もシェニエに共感し、尊敬の念を覚えます。
ジェラールは制服を脱ぎ捨て、伯爵家から仲間を連れて出ていきます。
伯爵夫人たちはショックを受けますが、そのままダンスは続けられます。
第2幕:『アンドレア・シェニエ』あらすじ
シェニエは「手紙をくれる女性」が気になっている
革命下のパリ
1794年(第1幕から5年後)
密偵がシェニエを監視しています。
ルーシェ(シェニエの友人)がシェニエの前に現れると、ルーシェは「この通行証で逃げろ。ここは危険だ。」とシェニエを心配します。
しかしシェニエは「嫌だ!実は、僕に手紙をくれる見知らぬ女性に会いたいんだ。僕はまだ恋をしたことがない。」とそれを拒否します。
シェニエとマッダレーナが「永遠の愛」を誓う
夜が更けると、シェニエのもとにマッダレーナが現れます。
そこでシェニエは「手紙の差出人が伯爵令嬢のマッダレーナ」だったことを初めて知ります。
マッダレーナは「危険と悲しみの中、あなただけを頼りに生きてきました。」と愛を告白します。
それにシェニエは「僕の腕の中にいればもう怖くない。死ぬまで一緒にいよう!」と愛で答えます。
シェニエとマッダレーナが離れ離れになる
そこに密偵とジェラールが現れます。
密偵は「マッダレーナこそがジェラールが探している女性」だと気づき、ジェラールを呼びに行きました。
シェニエはマッダレーナを逃し、ジェラールと決闘になり傷を負わせます。
そのときジェラールは「決闘相手が、かつて共感した詩人」であることに気づきます。
ジェラールはシェニエを逃がし、さらに「知らない奴にやられた。」と語り彼をかばいます。
第3幕:『アンドレア・シェニエ』あらすじ
シェニエが捕えられ、ジェラールが「シェニエ告発状」にサインする
革命裁判所の大広間
ジェラールが「フランスは血と涙を流している!」と演説し、感動した群衆が寄付をしています。
そこに密偵が現れ「シェニエを捕まえた。シェニエをおとりにして、マッダレーナをおびき出そう。」とジェラールに語ります。
そして「シェニエの告発状」にサインするよう求めます。
ジェラールはサインをしながら、「恋のために革命を掲げる複雑な心情」を歌い上げます。(Nemico della Patria)
"Nemico della Patria"
ジェラールが改心する
そこにマッダレーナが「シェニエ助命の嘆願」に現れます。
ジェラールは「あなたを手に入れるために、あなたの恋人を捕まえました。」と愛を告白します。
それに対しマッダレーナは「母が殺されてから、私は愛を頼りに生きてきたのです。」と苦しい心の内を告白します。(La mamma morta)
"La mamma morta"
それに心を打たれたジェラールは改心し、シェニエを助けようと決心します。
シェニエに「死刑」が宣告される
革命裁判がシェニエの番になると、シェニエは告発状は嘘であることを訴えます。
ジェラールもシェニエを弁護しますが、群衆の興奮を抑えることはできません。
シェニエは死刑を宣告され、マッダレーナは崩れ落ちます。
第4幕:『アンドレア・シェニエ』あらすじ
シェニエが監獄で「辞世の句」を歌う
監獄
シェニエは訪れた友人ルーシェに「辞世の句(人がこの世を去るときに読む詩)」を読み上げます。(Come un bel dì di maggio / 五月の晴れた日のように)
"Come un bel dì di maggio"
マッダレーナは「見知らぬ死刑囚」の身代わりとなる
ルーシェが去ると、ジェラールの計らいでマッダレーナが現れます。
マッダレーナは牢番にわいろを渡し「私をレグレイ(女死刑囚)の身代わりにして!」と頼みます。
ジェラールは最後の嘆願をしに去っていきます。
シェニエとマッダレーナが死刑台へ運ばれていく
シェニエとマッダレーナは「私たちの愛は、魂の愛!」と語りあい、共に死ねることを喜びます。
夜が明けると、シェニエとマッダレーナ(レグレイの身代わり)が呼ばれます。
二人は「さあともに、死に栄光あれ!」と叫び、護送車に乗り死刑台に運ばれていきます。
入れ違いに、助命を拒まれたジェラールが再び現れオペラが終わります。
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