目次
項目 | データ |
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作曲年 | 1797-1798年 |
献呈 | リヒノフスキー侯爵 |
演奏時間 | 20分弱 |
1798年にベートーヴェンが作曲したピアノソナタ第8番ハ短調作品13「大ソナタ悲愴」は、ベートーヴェンの初期の代表作です。
第14番「月光」・第23番「熱情」と共にベートーヴェンの三大ピアノソナタの一つとしても数えられ、人気も高い作品でもあります。
難易度もそれほど高くないことから、音楽愛好家の方々が演奏する機会も多くあります。
全楽章を通して人気が高いですが、特に第二楽章の冒頭部分はテレビやCMでもよく耳にします。
タイトルから音楽をイメージすると、悲しみに満ちた音楽のような気もしますがそうではありません。
「情熱的な部分」や「光を感じる部分」、「懐疑的な表現」などベートーヴェンらしさがたっぷりと詰まった傑作です。
ここではベートーヴェン「ピアノソナタ第8番(悲愴)」の解説と名盤を紹介したいと思います。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番(悲愴)」の演奏
[00:19]第1楽章:Grave -- Allegro di molto e con brio[09:46]第2楽章:Adagio cantabile
[15:11]第3楽章:Rondo: Allegro
ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim, 1942年-)
アルゼンチン出身の、ユダヤ人ピアニスト・指揮者(現在の国籍はイスラエル)
神童として名をはせ10代の頃からピアニストとして活躍すると、20代半ばからは指揮者としても活躍する。
パリ管弦楽団、シカゴ交響楽団、ベルリン・シュターツカペレの音楽監督なども歴任。
オペラ部門、室内楽部門、管弦楽曲部門、ソリスト部門、ベスト・クラシック部門などでグラミー賞を受賞。
無料楽譜
ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番(悲愴)」の無料楽譜(IMSLP/外部サイト)
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数少ない標題付きの作品
ベートーヴェンのピアノソナタ第8番には「大ソナタ悲愴(Grande Sonate pathétique)」という標題が付けられています。
悲愴とは「悲しく痛ましいこと。また、そのさま。」と辞書では出てきます。
悲愴を作曲していた頃は、ベートーヴェンが耳の異変を感じ始めた時期でもありました。
「ベートーヴェンの難聴」と「悲愴」の関連はわかっていませんが、少なからず関係していたのかもしれません。
ベートーヴェン自身が標題を付けた作品は少なく、合計32曲あるピアノソナタにおいては第8番以外には第26番「告別」があるのみです。
三大ピアノソナタの「月光」も「熱情」もベートーヴェンが付けたものではありません。
ちなみに音楽に標題を付けることは、ロマン派の時代に入ると盛んにおこなわれるようになります。
古典派の時代に標題を付けたこの作品は、その点においても革新的作品であると言えるかもしれません。
カール・リヒノフスキー侯爵へ献呈された
「ピアノソナタ第8番(悲愴)」は、カール・リヒノフスキー侯爵(Karl Lichnowsky, 1761年-1814年)へ献呈されました。
リヒノフスキー侯爵は、ベートーヴェンの最も有力な後援者の1人として有名な人物です。
侯爵はモーツァルトとも、最終的に金銭の問題で揉めています。
侯爵は、ベートーヴェンを1796年にプラハ、ベルリンへ演奏旅行に連れ出しています。
また1800年から1806年までの間は、侯爵はベートーヴェンを経済的に支援します。
ベートーヴェンはこの作品の他に、「交響曲第2番」「ピアノソナタ第12番」も侯爵に献呈しています。
ただしこの関係は長くは続かず、ベートーヴェンとリヒノフスキー侯爵は、1806年に喧嘩別れをしています。
「ピアノソナタ第8番(悲愴)」の構成
第1楽章 Grave - Allegro di molto e con brio
Graveの序奏が特徴的で、展開部と終結部にもこれは登場します。
「悲愴」というタイトルは、この第1楽章を聴くとしっくりとくるのではないでしょうか。
第2楽章 Adagio cantabile
ピアノソナタは第1楽章が人気が高いことが多いですが、「悲愴」においてはこの第2楽章の人気もとても高いです。
あの有名な「第九」の第3楽章の主題は、この「悲愴」の第2楽章を彷彿させます。
第1楽章とは打って変わって叙情的な音楽に心が揺らされます。
第3楽章 Rondo; Allegro
元々はヴァイオリンとピアノのデュオのために構想が練られていましたが、ソナタの最終楽章となりました。
分散和音の伴奏の上に、美しい主題が提示されるのが印象的です。
ロンドソナタ形式になっており、ロンド主題は第1楽章第2主題が元になっています。
第1楽章・第2楽章からの引用もあり、まさに最終楽章にふさわしい音楽です。
ベートーヴェン「ピアノソナタ第8番(悲愴)」の名盤
ルービンシュタインの名演でベートーヴェンの三大ピアノソナタを堪能してはいかがでしょうか。
ルービンシュタインと言えばショパンを思い出す方もいるとは思いますが、ベートーヴェンも名演が揃っています。
定番の1枚としても知られており、クラシックの初心者の方にもオススメの1枚です。
温かくてスケール感の大きな音楽にきっと魅了されることだと思います。
アルトゥール・ルービンシュタイン(Arthur Rubinstein, 1887年1月28日 - 1982年12月20日)
ポーランド出身で、20世紀を代表するピアニストとして知られている。
母国ポーランドの作曲家ショパンをはじめ、シューマン、ベートーヴェン、ブラームスやブラジル音楽など、多くのレパートリーを誇った。
1899年:ポツダムでデビュー
1990年:ヨアヒムの指揮でベルリン・デビュー
1937年:ナチスの迫害を逃れて米国に移住
1946年:アメリカに帰化
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