目次
項目 | データ |
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作曲年 | 1796年-1803年 |
初演 | 1803年4月5日 |
献呈 | ルイ・フェルディナント |
演奏時間 | 35分程度 |
ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第3番」は、1796年から1803年にかけて作曲されました。
ベートーヴェンはピアノ協奏曲を5曲書きましたが、3番は唯一の短調(ハ短調)の曲です。
ハ短調は当時「ドラマとパトス(情念)の両立」という独特の意味を持っていたという説があります。
ハ短調はハイドン「交響曲第78番」やモーツァルト「ピアノ協奏曲第24番」でも使われました。
ベートーヴェンの作品では、「交響曲第5番(運命)」や「ピアノソナタ第8番(悲愴)」「ピアノソナタ第32番」、序曲「コリオラン」、「ヴァイオリンソナタ第7番」などもハ短調です。
ここではベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」の解説と名盤を紹介したいと思います。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」の演奏
[01:04]第1楽章:Allegro con brio ハ短調 2/2拍子[17:59]第2楽章:Largo ホ長調 3/8拍子
[27:25]第3楽章:Molto allegro ハ短調 2/4拍子
ピアノ:アルフレッド・ブレンデル(Alfred Brendel, 1931年-)
指揮:クラウディオ・アバド(Claudio Abbado, 1933年-2014年)
オーケストラ:ルツェルン祝祭管弦楽団(Lucerne Festival Orchestra)
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」の解説
「ピアノ協奏曲第3番」は1796年頃から書かれ始めました。
1800年頃に大枠は完成していたようですが、予定されていた初演の時期(1800年)には間に合いませんでした。
そこから幾分か書き直しがなされ1803年の初演となったようです。
初演はベートーヴェンが即興で弾いた
初演は1803年4月5日に、アン・デア・ウィーン劇場でおこなわれました。
このコンサートでは「交響曲第2番」も初演されました。
初演の独奏はベートーヴェン自身が務めましたが、彼の楽譜には記号のようなものが書かれているだけで楽譜は完成していなかったそうです。
ベートーヴェンは、ほとんど即興で初演を演奏したと言われています。
この時にベートーヴェンは弟子のために楽譜を完成させたそうです。
初演では、「ピアノ協奏曲より交響曲の方が好評だった。」と言われています。
作品を献呈したルイ・フェルディナントとは?
ルイ・フェルディナント(Louis Ferdinand,1772年-1806年)は、プロイセン王国の王族の人物で、ナポレオン戦争で活躍したことで知られています。
とても才能溢れる人物でしたが、1806年に33歳の若さで戦死してしまいました。
ルイ・フェルディナントは、ベートーヴェンがベルリンを訪れたとき(1796年)に出会いました。
彼は、ベートーヴェンを崇拝するようになりました。
それは彼自身も音楽家であったことが関係しているのでしょう。
彼は多くの器楽曲を作曲しており、ベートーヴェンの親友で弟子でもあるルドルフ大公も彼の音楽を愛したそうです。
ルイ・フェルディナントは、1804年にウィーンを訪れています。
そこで彼とベートーヴェンはさらに親交を深め、作品を献呈するまでに至ります。
フリードリヒ2世も音楽に精通していたことで知られています。
またフランツ・リストは、『プロイセン王子ルイ・フェルディナントの主題による悲歌』(1842年)という作品を作曲しています。
ベートーヴェン「ピアノ協奏曲第3番」の名盤
内田光子、ザンデルリング&コンセルトヘボウ管「ピアノ協奏曲第3番」の名盤は多くあると思いますが、せっかくですので日本が誇る内田光子さんのCDを紹介したいと思います。
内田光子とクルト・ザンデルリング、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の息のピッタリ合った演奏は必聴です。
二人の信頼関係は厚く、クルト・ザンデルリングは自らの引退コンサート(2002年)で内田光子を起用しました。(モーツァルト「ピアノ協奏曲第24番」)
ピアノ:内田光子
オーケストラ:ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
指揮:クルト・ザンデルリング
録音:1994年11月(アムステルダム、コンセルトヘボウ)
内田 光子(うちだ みつこ/1948年12月20日-)
1966年:ミュンヘン国際コンクール第2位
1969年:第3回ウィーン・ベートーヴェン国際コンクール第1位
1970年:ショパン・コンクール第2位(現在も日本人最高位)
1987年:サントリー音楽賞受賞
2008年:ベルリン・フィルハーモニーのレジデント・ピアニストに選出
2009年:大英帝国勲章「デイム」を授与される
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