目次
項目 | データ |
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初演 | 1871年12月24日 カイロ劇場 |
原作 | オギュスト・マリエット(原案:カミーユ・デュ・ロークル) |
台本 | アントニオ・ギスランツォーニ |
演奏時間 | 2時間40分 |
『アイーダ(Aida)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)によって作曲されたオペラです。
劇中に登場する合唱「凱旋行進曲」はサッカーの試合でも使われており、音楽ファン以外でもとても馴染みのある音楽です。
ヴェルディはオペラ史において最も重要、かつ人気のある作曲家の一人で、『ナブッコ』『リゴレット』『椿姫』など多くの傑作を遺しました。
また、ヴェルディはワーグナーと同年齢で、そのことから二人は比較されることがしばしばあります。
ここではヴェルディのオペラ『アイーダ』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
人物名 | 備考 |
---|---|
アイーダ(ソプラノ) | エチオピア王女で奴隷。 |
ラダメス(テノール) | エジプト軍の指揮官。 |
エジプト国王(ファラオ)(バス) | |
アムネリス(メゾソプラノ) | エジプト王女。 |
ランフィス(バス) | 祭司長 |
アモナズロ(バリトン) | エチオピア王、アイーダの父。 |
『アイーダ』の簡単なあらすじ
時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
エジプト軍の指揮官ラダメスは、奴隷アイーダ(敵国の王女)に恋をしています。
アイーダを愛するラダメスは、敵にそれを利用されます。
そして敵の策略にはまり、ラダメスは祖国を裏切ってしまいます。
裏切りの罪で捕えられたラダメスは、墓に生き埋めにされることとなります。
アイーダは二人で死ぬことを決意し、あらかじめ墓に侵入します。
二人は天国で永遠の愛を誓い、天へ旅たっていきます。
第1幕:『アイーダ』のあらすじ
ラダメスが、奴隷アイーダ(敵国の王女)に恋をしている
メンフィスの王宮の広間
祭司長ランフィスがラダメスに、「エジプトの軍の最高指揮官が決まった」と告げます。
ラダメスは「その戦士が私なら!」と語り、「アイーダに祖国を返してあげたい。」と彼女への想いを歌います。(Celeste Aida)
「清きアイーダ(Celeste Aida)」
そこにラダメスに恋するアムネリス(エジプト王女)が登場します。
アムネリスが彼の想いを探っていると、アイーダ(エチオピア王女で奴隷)が現れます。
ラダメスとアイーダは秘密の愛が明らかになるのを恐れます。
ラダメスがエチオピア(アイーダの祖国)を迎え撃つために、軍の指揮官に任命される
そこにエジプト王が部下を従えて登場します。
使者は「アモナズロ(エチオピア王、アイーダの父)がエジプトを侵攻してきている」ことを伝えます。
王はエジプト軍の指揮官にラダメスを任命します。
ラダメスは、「戦争だ、侵略者には死を!」と戦いに燃えます。
勝利を願い、アイーダ以外の全員が立ち去ります。
アイーダは、愛する人が祖国を攻撃する苦しみを歌います。(Ritorna vincitor)
「勝ちて帰れ(Ritorna vincitor)」
ラダメスと巫女たちが、勝利を祈る
メンフィスの火の神の神殿
巫女たちが祈りを捧げているところに、ラダメスが登場します。
祭司長ランフィスは、ラダメスに聖なる剣を授けます。
ラダメスは「エジプトの聖なる土地を守り給え」と祈り、巫女たちも続いて祈ります。
第2幕:『アイーダ』のあらすじ
アムネリスが「アイーダがラダメスを愛している」ことを見破り、憎悪と復讐心を燃やす
アムネリスの部屋
アムネリスは女奴隷たちに囲まれて、勝利の祝宴の衣装を準備しています。
そこにアイーダが悲しげな顔で入ってきます。
アムネリスはアイーダの心を探るために、「ラダメスはお前の国の軍によって殺されてしまった」と嘘をつきます。
それを聞いたアイーダが泣きだすのを見て、彼女がラダメスを愛していることを見破ります。
アムネリスは奴隷とライバルであることを怒り、憎悪と復讐心に燃えます。
エジプト軍勝利の音楽が響く
テーベの街の入り口
祖国と神を称えながら人々が登場し、凱旋と勝利のファンファーレが響きます。(Gloria all'Egitto, ad Iside)
「凱旋行進曲(Gloria all'Egitto, ad Iside)」
国王がラダメスに勝利の冠を授け、褒美を尋ねます。
ラダメスは捕虜たちを王の前に連れてきます。
そのときアイーダが父アモナズロを捕虜の中から見つけ、二人は抱き合います。
アモナズロはエチオピア王の身分を隠し、エチオピア王は死んだと嘘をつきます。
ラダメスは王に褒美として、「捕虜たちの解放」を願い出ます。
捕虜たちは解放されるが、平和と安全の証としてアイーダの父、アモナズロは人質にとられます。
勝利の褒美としてラダメスには、アムネリスとの結婚が命じられる。
王はラダメスに「アムネリスと結ばれ、エジプト王の後継者になれ。」と告げます。
アムネリスは喜びに酔いしれ、アイーダは絶望的な愛を嘆きます。
ラダメスは、「エジプトの王座でさえも、アイーダの心ほどの価値はない。」と歌います。
第3幕:『アイーダ』のあらすじ
アイーダが「ラダメスとの密会」のために現れる
ナイルの川岸
神殿の中で司祭たちが祈る声が聞こえます。
アムネリスがラダメスとの愛を祈るために、祭司長と共に神殿に入っていきます。
そこにアイーダがラダメスとの密会のために、人目を忍んで現れます。
アイーダは、「これがラダメスとの最後の別れになるなら、ナイル川に身を投げよう」と嘆きます。
そして祖国への愛を歌います。(O patria mia)
「おお、わが故郷(O patria mia)」
アモナズロが、娘アイーダを利用する
そこに父アモナズロが突然現れます。
アモナズロはアイーダに「祖国の勝利のために、エジプト軍がどの道を攻めてくるか、ラダメスに聞け。」と言います。
アイーダは苦悩するが、祖国のためにそれを受け入れます。
ラダメスが敵の王の策略にはまり、祖国を裏切る
続いてラダメスが登場します。
アイーダはラダメスに、「私を愛しているのなら、一緒に逃げよう。」と頼みます。
そして逃げ道を聞きだした瞬間、アモナズロが登場します。
アモナズロは自身がエチオピアの王であることを明かし、ラダメスは祖国を裏切ったことに気付き後悔します。
そこにアムネリスや司祭長たちが、衛兵を連れて現れます。
ラダメスは、アイーダとアモナズロを逃がします。
第4幕:『アイーダ』のあらすじ
ラダメスは捕えられ、死罪が告げられる
王宮の広間
ラダメスは囚われの身となっています。
アムネリスはラダメスに、「アイーダを諦めれば、あなたの命が救われるように頼みます。」と言いますが、ラダメスはそれを断ります。
ラダメスには死罪が告げられます。
ラダメスとアイーダが、天国での永遠の愛を誓う
火の神の神殿の中、ラダメスは生き埋めされるために、墓の中にいます。
ラダメスのもとに、逃亡したはずのアイーダが現れます。
アイーダは、「ラダメスが生き埋めになることを予期しており、墓の中に予め入っていた。」と告白します。
そして「あなたの腕の中で死にたい。」と言います。
ラダメスはアイーダを逃すために石扉を動かそうとするが、扉はびくともしません。
二人は天国での永遠の愛を誓います。(O terra, addio)
「O terra, addio」
アムネリスがラダメスの安息を祈る中、二人は天へ旅たっていきます。
ヴェルディ『アイーダ』の映像
輸入ブルーレイ(日本語字幕ナシ)2009年ニューヨーク、メトロポリタン歌劇場でのライブ映像です。
当時話題となった豪華な演出が高画質で楽しめます。
輸入盤で日本語字幕がないのは残念なところですが、それ以外はアイーダの決定版の一つに数えられるのではないでしょうか。
ヨハン・ボータ(ラダメス)をはじめとした歌手陣、合唱の壮大な音楽も必聴です。
役名等 | 演奏 |
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アイーダ | ヴィオレータ・ウルマーナ |
ラダメス | ヨハン・ボータ |
アムネリス | ドローラ・ザジック |
アモナズロ | カルロ・グエルフィ |
ランフィス | ロベルト・スカンディウッツィ |
演奏 | メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 |
指揮 | ダニエレ・ガッティ |
演出 | ソニヤ・フリゼル |
ヨハン・ボータ(Johan Botha, 1965年8月19日 - 2016年9月8日)
南アフリカ出身のテノール歌手
13歳で声楽を学びはじめ、1989年にルーテポート国立歌劇場『魔弾の射手』マックスでオペラデビュー。
それ以降はワーグナー、R.シュトラウス、ヴェルディ、プッチーニなどをレパートリーとし、世界屈指のヘルデンテノールとして活躍した。
51歳の若さで死去。
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