項目データ
初演1787年10月29日 プラハ
原作ベルターティの『石の客』、モリエールの『ドン・ジュアン』など
台本ロレンツォ・ダ・ポンテ
演奏時間3時間

『ドン・ジョヴァンニ(Don Giovanni)』は、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart/1756年-1791年)によって作曲されたオペラです。

前年(1786年)にウィーンで初演された『フィガロの結婚』は、プラハで大ヒットしました。
その影響でプラハの劇場からの依頼で作曲されたオペラが『ドン・ジョヴァンニ』です。
初演はモーツァルト自身の指揮でおこなわれ、大成功をおさめたそうです。

 オペラ・ブッファに分類されることも多いオペラですが、最後にドン・ジョヴァンニが地獄に落ちるなど悲劇性のあるストーリーとなっています。

「ドン・ジョヴァンニ」とは「ドン・ファン」をイタリア語にしたものです。
ドン・ファンは17世紀のスペインの伝説の遊び人で、オペラのストーリー自体も「ドン・ファンの伝説」に沿ったものとなっています。

ここではモーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

ドン・ジョヴァンニ(バリトン)
レポレッロ(バス):ジョヴァンニの従者

ドンナ・アンナ:(ソプラノ):オッターヴィオの婚約者
騎士長(バス):アンナの父
ドン・オッターヴィオ(テノール):アンナの婚約者

ドンナ・エルヴィーラ(ソプラノ):ジョヴァンニに捨てられた女性
ツェルリーナ(ソプラノ):マゼットの新婦
マゼット(バス)

『ドン・ジョヴァンニ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」

ドン・ジョヴァンニは、男前で女遊びの激しい人物です。


【第1幕】
ある時、ドン・ジョヴァンニは夜這いをかけているときに、その女性(アンナ)の父親(騎士長)を殺してしまいます。
ドン・ジョヴァンニを恨むアンナやエルヴィーラ(かつてジョヴァンニに捨てられた女性)たちは、復讐を誓います。


【第2幕】
ドン・ジョヴァンニは墓地で喋る石像(殺した騎士長の幽霊)に出会い、石像を夕食に招待します。
石像たちが改心を求めますが、ドン・ジョヴァンニは心を改める様子が全くありません。
すると不思議な力で地面が避けて、ドン・ジョヴァンニは地獄に落ちていきます。
「これぞ悪人の結末!」と皆が歌い、オペラが終わります。

第1幕:『ドン・ジョヴァンニ』のあらすじ

アンナの父・騎士長が、ドン・ジョヴァンニに殺される

騎士長の邸宅

ドン・ジョヴァンニが夜這いをするためにある邸宅に忍び込んでいます。
そのそばでは従者レポレッロが「人に仕えるのはもう嫌だ。」と、主人の愚痴をこぼしています。

 このオペラの間、遊び人のドン・ジョヴァンニは登場する女性に会うたびに、彼女たちをナンパします。

やがてドン・ジョヴァンニが夜這いの相手であるドンナ・アンナに追われてきます。
そして騒ぎで駆けつけたアンナの父・騎士長と決闘になります。

ドン・ジョヴァンニは騎士長を刺殺して逃走します。
それを知ったアンナの恋人ドン・オッターヴィオは復讐を誓います。

ドン・ジョヴァンニが昔捨てた女性(エルヴィーラ)と対面

夜の街

ある女性(ドンナ・エルヴィーラ)が
「あいつを愛してたのに、裏切られた。」
「復讐してやるわ...」
と嘆いています。(Ah chi mi dice mai)

「Ah chi mi dice mai」

そこに女好きのドン・ジョヴァンニが現れます。
そして、性懲りもなく彼女をナンパしだします。

しかしその女性は以前ドン・ジョヴァンニが捨てた、ドンナ・エルヴィーラでした。
ばつの悪いドン・ジョヴァンニは彼女から逃走します。

 この後、エルヴィーラはドン・ジョヴァンニのナンパ道を幾度も邪魔します。

残されたレポレッロはエルヴィーラに
「被害者はあなただけではありません。」
「彼が愛した女はこんなにたくさんいます。」
と言い、ドン・ジョヴァンニが過去に相手をした女性のリストを見せます。(Madamina, il catalogo è questo)

「Madamina, il catalogo è questo」

アンナが殺人犯ドン・ジョヴァンニと再会

村の広場
舞台は村の広場に変わります。

マゼットとツェルリーナは今夜結婚をすることになっています。
そこにドン・ジョヴァンニとレポレッロが現れます。

ドン・ジョヴァンニはツェルリーナをナンパします。
ツェルリーナは心が揺れ動きます。(Là ci darem la mano)

「Là ci darem la mano」2:25辺りから

しかし、そこにエルヴィーラが現れます。
そして、彼を激しく非難し「あの裏切り者から逃げなさい!」と歌います。
そしてツェルリーナを連れて去っていきます。(Ah! fuggi il traditor)

「Ah! fuggi il traditor」

ドン・ジョヴァンニは、ナンパが失敗続きなので嘆いています。
そこにアンナとオッターヴィオが現れます。

アンナは「父を殺した犯人」がドン・ジョヴァンニだと気づかずに、彼に助けを求めます。
そこにエルヴィーラが再び登場し、ドン・ジョヴァンニを非難します。
ドン・ジョヴァンニは困って、エルヴィーラを連れて去っていきます。

その時、アンナはドン・ジョヴァンニの声から「彼が殺人犯」だと気づきます
アンナは復讐を求め、オッターヴィオは再び復讐を誓い彼女の平安を祈ります。(Dalla sua pace)

 オッターヴィオは口だけで先行し、行動がともないません。
典型的な「ダメ男」として描かれています。

「Dalla sua pace」

入れ替わりでドン・ジョヴァンニが現れ、人々を自宅に招待します。
そして上機嫌で「シャンパンの歌」を歌います。(Fin ch'han dal vino)

「Fin ch'han dal vino」

マゼットとツェルリーナの仲直りの二重唱

ドン・ジョヴァンニの館

マゼットはツェルリーナが浮気をしかけたことを怒っています。
ツェルリーナは彼に謝罪し(Batti, batti, o bel Masetto)、二人は仲直りをします。

「Batti, batti, o bel Masetto」

そこにドン・ジョヴァンニが現れ、再びツェルリーナをナンパします。
マゼットはそれを阻止しようとします。

やがて夜になると、アンナ、オッターヴィオ、エルヴィーラが現れ、復讐のために館に入っていきます。

第2幕:『ドン・ジョヴァンニ』のあらすじ

マゼットが復讐を失敗、ドン・ジョヴァンニにやられる

レポレッロはドン・ジョヴァンニに愛想を尽かし彼のもとを去ろうとしますが、お金を渡されるとすぐに心変わりをします。

女好きのドン・ジョヴァンニは、今度はエルヴィーラの召使いを気に入ります。
そしてレポレッロに自分の衣装を着させて、エルヴィーラを呼び出させます。

ドン・ジョヴァンニがレポレッロの衣装を着て一人になっているところに、マゼットたちがドン・ジョヴァンニに復讐をしに現れます。
ドン・ジョヴァンニはレポレッロのふりをして彼らを分散させ、最後にマゼットをぶん殴ります。

負傷したマゼットは、ツェルリーナに介抱されます。(Vedrai, carino)

オッターヴィオが復讐を誓う

アンナ邸

エルヴィーラがレポレッロ(ドン・ジョヴァンニの衣装)を追いかけてきます。
ツェルリーナとマゼット、アンナとオッターヴィオは彼を見つけて復讐しようとします。

しかし、それはドン・ジョヴァンニではなくレポレッロでした。
レポレッロは一目散に逃げ出します。

オッターヴィオは「殺人犯がドン・ジョヴァンニ」であると確信し、三度(みたび)復讐を誓います。(Il mio tesoro intanto)

「Il mio tesoro intanto」

死んだ父の声が墓地で鳴り響く

エルヴィーラはドン・ジョヴァンニに裏切られ続けても、彼に魅力を感じてしまっています。(Mi tradì quell'alma ingrata)

「Mi tradì quell'alma ingrata」

墓地

ドン・ジョヴァンニとレポレッロは墓地で落ち合います。
そこで騎士長の石像から声が聞こえます。

 騎士長はアンナの父親で、オペラ冒頭で殺された人物です。
石像の幽霊として、このシーンで再登場します。

彼らは、騎士長の石像を夕食に招待します。

空気の読めないオッターヴィオがプロポーズをする

アンナ邸

皆が復讐に燃える中、場の空気の読めないオッターヴィオは、アンナにプロポーズをします。
しかし、アンナに「こんな時に何を言っているの!?」と言い返されてしまいます。

ドン・ジョヴァンニが地獄に落ちる

ドン・ジョヴァンニの館

ドン・ジョヴァンニが夕食を楽しんでいます。
エルヴィーラが彼に改心するように求めますが、彼は全く相手にしません。

そこにレポレッロが悲鳴をあげて入ってきます。
夕食に招待された「騎士長の石像」がやってきたのでした。

石像もドン・ジョヴァンニに改心を求めますが、彼はまたも拒否します。
すると地面が裂けて、ドン・ジョヴァンニは地獄へと落ちていきます。

最後に皆が駆けつけて「これぞ悪人の結末!」と歌われてオペラが終わります。

モーツァルト『ドン・ジョヴァンニ』の映像

ターフェル、フレミング、レヴァイン&メトロポリタン歌劇場
2000年のメトロポリタン歌劇場のオープニングを飾ったこの公演は、超豪華キャストで話題を呼びました。
ターフェル(ドン・ジョヴァンニ)、ルネ・フレミング(アンナ)らはもちろんのこと、レポレッロのスペシャリストであるフルラネットがオペラをより一層盛り上げています。(フルラネットはドン・ジョヴァンニ役としても有名)
ゼッフィレッリの演出は「スタンダードかつ豪華」な演出で、『ドン・ジョヴァンニ』の作品そのものを十分に楽しめます。
『ドン・ジョヴァンニ』の初めての1枚としてもオススメです。

【キャスト等】
ドン・ジョヴァンニ:ブリン・ターフェル
レポレロ:フェルッチョ・フルラネット
ドンナ・アンナ:ルネ・フレミング
ドンナ・エルヴィーラ:ソルヴェイグ・クリンゲルボルン
ドン・オッターヴィオ:ポール・グローヴズ
ツェルリーナ:ヘイ=キョン・ホン
騎士長:セルゲイ・コプチャク

メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
指揮:ジェイムズ・レヴァイン
演出、美術:フランコ・ゼッフィレッリ

収録:2000年9月、メトロポリタン歌劇場

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