項目データ
初演1896年2月1日 トリノ王立劇場
原作アンリ・ミュルジェール 『ボヘミアンたちの生活情景』(1849年)
台本ジュゼッペ・ジャコーザ、ルイージ・イッリカ
演奏時間1時間50分

『ラ・ボエーム(La Bohème)』ジャコモ・プッチーニ(Giacomo Puccini/1858年-1924年)によって作曲されたオペラです。
1830年代のフランス・パリを舞台としており、屋根裏部屋で暮らす芸術家4人組の物語が描かれています。

ちなみに大ヒットミュージカル『レント』は、この『ボエーム』の舞台がニューヨークに置き換えられたものです。

 イタリアオペラを代表する作曲家であるプッチーニは『マノン・レスコー』『トスカ』『蝶々夫人』『ジャンニ・スキッキ』『トゥーランドット』など多くの傑作を遺しました。
そして彼のほぼすべてのオペラ作品が今でも上演され続けています。

また『ラ・ボエーム』は数あるオペラの中でも特に人気のある作品で、コンサートで単独で歌われることの多い名アリアが随所で登場します。

 特に有名なアリア
ロドルフォ:「冷たき手を(Che gelida manina)」
ミミ:「私の名はミミ(Sì, mi chiamano Mimì)」
ムゼッタ:「私が街を歩くと(Quando me n'vo soletta per la via)」
ミミ:「あなたの愛の呼ぶ声に(Donde lieta uscì al tuo grido d'amore)」

台本はイッリカとジャコーザの名コンビによるもので、『トスカ』『蝶々夫人』の台本も彼らが書きました。

このではそんなプッチーニのオペラ『ボエーム』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

芸術家4人組詳細
ロドルフォ詩人
マルチェッロ画家
ショナール音楽家
コッリーネ哲学者
彼らの恋人詳細
ミミロドルフォの恋人
ムゼッタマルチェッロの恋人

『ボエーム』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単な「30秒あらすじ」
舞台はパリ


【第1.2幕】
芸術家の卵の4人組が、屋根裏で暮らしています。
そのうちの一人である詩人ロドルフォは、お針子のミミと出会い、二人はすぐに恋に落ちます。


【第3幕】
ミミの体は病に侵されていました。
貧しいロドルフォは、ミミの体を看てあげるお金がありません。
ロドルフォはミミの身体のために、嘘をついて別れを告げます。


【第4幕】
別れた二人ですが、ミミの病は良くなることはありませんでした。
瀕死のミミがロドルフォのもとへ運ばれてきます。
二人は最後に愛を確かめ合い、ミミは帰らぬ人となります。


第1幕:『ボエーム』のあらすじ

芸術家4人が屋根裏で生活している

パリの屋根裏部屋

芸術家4人は自由な生活をしているが、貧乏である

寒い部屋の中で、詩人ロドルフォは物思いにふけり、画家マルチェッロは「紅海の横断」(絵)を描いています。
薪を買うお金のない二人は、"ロドルフォの詩が書いてある紙"を暖炉で燃やし、暖をとっています。
そこに哲学者コッリーネが「本が売れなかった」と言って戻ってきます。

暖炉の火が消えかけた頃に、音楽家ショナールが勝ち誇った様子で戻ってきます。
ショナールが"金・薪・食料"を持って帰ってきたことに皆は喜びます。

大家が家賃の徴収に来るが、追い出される

皆が騒ぐ中、ドアをノックする音が聞こえます。
それは家賃を取り立てにやってきた家主ベノワでした。

4人は何とかベノワを言いくるめて外へ追い出します。

騒ぎが収まると、皆は夜の街に繰り出します。
ロドルフォは「記事の執筆を終わらせてから合流する」と言って、一人残ります。

ロドルフォとミミが出会い、恋に落ちる

女性(ミミ)がドアをノックする
ロドルフォが一人になると、ドアをノックする音が再び聞こえます。
それは"明かりが消えてしまったため、火をもらいに来た"ミミでした。

ドアの主が女性だとわかると、ロドルフォは喜んでドアを開けます。
ミミは苦しそうに呼吸をしているので、ロドルフォは心配しワインを渡します。
ミミはロウソクに火をもらい部屋を立ち去ります。

二人はお互いの自己紹介をし、恋に落ちる

しかし、ミミは部屋にカギを忘れたことに気付き、戻ってきます。
風でロウソクの火が消え、二人が手探りでカギを探す中、二人の手が触れ合います。
そこでロドルフォがミミに自分のことを紹介します。(Che gelida manina)

ロドルフォ:「冷たき手を(Che gelida manina)」

続いてミミも自己紹介をします。(Sì, mi chiamano Mimì)

ミミ:「私の名はミミ(Sì, mi chiamano Mimì)」

二人は恋に落ち、愛の二重唱を歌い、マルチェッロたちが待つカフェ・モミュスへ出かけます。

第2幕:『ボエーム』のあらすじ

皆で外食をしている中、マルチェッロが元恋人(ムゼッタ)を見つける

カルチェラタン通りのカフェ・モミュス

クリスマスイブの賑わいの中、マルチェッロたちは店に向かっています。
遅れてロドルフォがミミと共に登場し、彼女を仲間に紹介します。

皆で食事を始めた頃に、マルチェッロが別れた恋人ムゼッタを見つけます。
ムゼッタはパトロンのアルチンドロを連れまわしています。
やがてムゼッタはマルチェッロに気付き、彼を挑発するように歌を歌います。(Quando me n'vo soletta per la via)

ムゼッタ:「私が街を歩くと(Quando me n'vo soletta per la via)」

マルチェッロとムゼッタの愛が再び燃え上がる

するとマルチェッロのムゼッタへの愛が再び燃え上がります。
ムゼッタは足が痛いと騒ぎ、アルチンドロに新しい靴を買いに行かせます。

お金のない彼らは、店の勘定をムゼッタのパトロン(アルチンドロ)に支払わせる

マルチェッロとムゼッタが抱き合う中、ウェイターが勘定を持ってきます。
皆は金がないと慌てます。

ムゼッタが勘定をアルチンドロに押し付け、アルチンドロがその金額に驚いたところで幕となります。

第3幕:『ボエーム』のあらすじ

ミミがマルチェッロに"ロドルフォ"のことで相談に来る

アンフェールの門の前、2幕から2か月後
マルチェッロとムゼッタは近くの居酒屋で住み込みで働いています。

雪の中、ミミがマルチェッロを訪れてきます。
ミミは、ロドルフォが「君は僕には合わない、別の恋人を見つけろ」と言うと嘆いています。
そしてマルチェッロに助けてくれと相談します。

そこに先に居酒屋に来ていたロドルフォが出てきます。
ミミは驚いて姿を隠します。

貧しいロドルフォは、病に侵されたミミのために別れを決断する

ロドルフォはマルチェッロに「ミミが浮気者だから別れる」と言います。
しかし本心を問いただすと、「ミミはひどい病気で、僕といると貧しさで死んでしまう。」と告白します。

そこに自分の命が残り少ないことを知らされ絶望したミミが、せき込み泣きながら現れます。
ロドルフォはミミを抱き寄せ、続いてミミが別れの歌を歌います。(Donde lieta uscì al tuo grido d'amore)

ミミ:「あなたの愛の呼ぶ声に(Donde lieta uscì al tuo grido d'amore)」

ミミとロドルフォが愛の別れを歌う中、マルチェッロとムゼッタが喧嘩し罵り合っています。

第4幕:『ボエーム』のあらすじ

瀕死のミミが、屋根裏部屋へ運び込まれてくる

第1幕と同じ場面

ロドルフォとマルチェッロは、お互い恋人と別れてしまっています。
そして別れた恋人が忘れられないでいます。

そこにムゼッタが動揺し息を切らし、瀕死のミミを連れてやって来ます。
ミミをベッドに連れていくと、ロドルフォはミミを抱きしめます。

ムゼッタは薬と医者を呼ぶために、マルチェッロにイヤリングを渡し売りに行かせます。
ムゼッタは、ミミが寒いと言うのでマフをとりに部屋を出ます。

コッリーネはミミのためにコートを売りに出ます。(Vecchia zimarra)

コッリーネ:「古い外套よ(Vecchia zimarra)」

ショナールもロドルフォとミミを二人きりにする為に出ていく。
二人きりになると、二人は愛を語り合い、ミミはロドルフォに昔の思い出を語る。

ミミの死

しばらくしてムゼッタはマフを、マルチェッロは薬を持って戻ってきます。
それから間もなくして、皆の願いもむなしくミミは息を引き取ってしまいます。

ロドルフォは、ミミの死に少しの間気付きません。
しかしロドルフォは"マルチェッロとショナールの様子がおかしい"ことでそれに気付き、ミミのもとへ駆け寄ります。
ロドルフォは激しい絶望の中、泣きながら「Mimì... Mimì!...」と彼女の名を叫び、オペラは終わります。

プッチーニ『ボエーム』の映像

1965年、ミラノ・スカラ座で制作された映像作品です。
いわゆる映画で、ライブ映像ではありません。

指揮カラヤン、演出ゼッフィレッリのもと、フレーニ(当時30歳)をはじめとした往年の名歌手たちが素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。
古い作品ではありますが、評価の高い名盤です。

【キャスト等】
ロドルフォ:ジャンニ・ライモンディ(テノール)
マルチェッロ:ロランド・パネライ(バリトン)
ショナール:ジャンニ・マッフェオ(バリトン)
コッリーネ:イヴォ・ヴィンコ(バス)

ミミ:ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ムゼッタ:アドリアーナ・マルティーノ(ソプラノ)

ベノア:カルロ・バディオリ(バリトン)
アルチンドロ:カルロ・バディオリ(バリトン)
パルピニョール:フランコ・リッチャルディ(テノール)

合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
オーケストラ:ミラノ・スカラ座管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
演出:フランコ・ゼッフィレッリ

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