題名十字軍のロンバルディア人
初演1843年2月11日 ミラノ・スカラ座
原作トンマゾ・グロッシの同名の叙事詩
台本テミストークレ・ソレーラ
演奏時間2時間15分

『十字軍のロンバルディア人(I Lombardi alla prima crociata)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)の初期のオペラです。
4作目となるこのオペラも、この前年に初演された『ナブッコ』に見られるような彼の愛国的精神が垣間見れます。

 タイトルが長いため『ロンバルディ(I Lombardi)』と略されて一般的には親しまれています。

初演は成功し、4年後にパリ・オペラ座でフランス語版も上演されました。
しかし、フランス語版は残念ながら人気を得ることはできませんでした。

ここではヴェルディのオペラ『ロンバルディ』のあらすじを紹介したいと思います。

主な登場人物

登場人物詳細
アルヴィーノ(テノール)ファルコ(ミラノの領主)の息子
パガーノ(バス)アルヴィーノの弟
ヴィクリンダ(ソプラノ)アルヴィーノの妻
ジゼルダ(ソプラノ)アルヴィーノの娘
アッチャーノ(バス)アンティオキア王
オロンテ(テノール)アンティオキア王の息子

ピルロ(パガーノの部下)、プリオーレ(ミラノの市民)
ソフィア(アンティオキア王の妻)など

『ロンバルディ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための簡単なあらすじ
アルヴィーノや娘ジゼルダは十字軍側で、オロンテはその敵(イスラム教徒)です。


【第1幕】
アルヴィーノ(兄)とパガーノ(弟)は、ヴィクリンダに恋をします。
その結果、アルヴィーノとヴィクリンダが結ばれます。

パガーノは復讐心を燃やし、兄の復讐計画を立てます。
しかし、パガーノは誤って父を殺してしまい国外追放されます。

 そのご追放されたパガーノは行者として身を隠し、十字軍の中へ入っていきます。

【第2幕】
ジゼルダ(アルヴィーノの娘)は敵国に捕らわれの身となっています。
彼女はオロンテ(敵国の王子)と恋に落ちます。

そこに十字軍(アルヴィーノたち)が攻めてきます。
アルヴィーノは娘ジゼルダを救出しますが、イスラム教徒を虐殺したことを娘に非難されます。


【第3幕】
ジゼルダは十字軍から逃げ出し、オロンテと再会を果たします。
しかし逃亡中にオロンテは瀕死の状態となり、やがて息を引き取ります。


【第4幕】
兄弟(アルヴィーノとパガーノ)が和解します。

第1幕(復讐):『ロンバルディ』あらすじ

パガーノが兄へ復讐を企む

ミラノの聖アンブロージョ前の広場

フォルコ(ミラノの領主)には、二人の息子(アルヴィーノとパガーノ)がいました。
兄弟はヴィクリンダに恋をし、恋敵となります。

恋の争いの結果、アルヴィーノ(兄)がヴィクリンダと結ばれます。
パガーノ(弟)は兄への殺害計画がばれ国外追放となりますが、聖地巡礼の旅を終え故郷へ戻ってきます。

皆は二人の和解を歌いますが、パガーノの恨みは未だに消えていません。
アルヴィーノが十字軍の指揮官に選ばれる一方で、パガーノは兄の暗殺を企み、復讐を歌います。(O speranza di vendetta)

パガーノが間違えて父を殺し、永久追放される

フォルコの宮殿の回廊:アルヴィーノの部屋
ヴィクリンダと娘ジゼルダ(アルヴィーノの妻と娘)がパガーノに不安を覚えていますが、アルヴィーノがそれを慰めます。
ジゼルダはマリアに祈りを捧げます。(Salve Maria)

「Salve Maria」

パガーノはアルヴィーノを殺すため寝室に忍び込みますが、その日に限り父フォルコがそこに寝ています。
パガーノは間違って父を殺してしまいます。

あたりは混乱に包まれる中、パガーノは再び追放されます。

第2幕(洞窟の人):『ロンバルディ』あらすじ

オロンテがジゼルダ(敵国の娘)に恋している

アッチャーノ(アンティオキア国王)の宮殿 ※現在のシリアに位置します

アッチャーノは十字軍が攻めてくる知らせを聞き、アラーの神に祈りを捧げます。
一方、彼の息子オロンテは、捕らわれている「ジゼルダへの恋心」を母に告白します。(La mia letizia infondere)

 ジゼルダ(アルヴィーノの娘)は、いつの間にか捕らわれの身となっています。

「La mia letizia infondere」

母は既にキリスト教に改宗しており、オロンテもキリスト教へと心が傾きます。

追放されたパガーノは行者として隠れている

洞窟
パガーノが素性を隠して、行者として潜り込んでいます。

やがてアルヴィーノが十字軍を引き連れて現れます。
アルヴィーノは行者が弟とは気づかず、「娘の奪還」について語ります。

やがて十字軍は聖地奪還のため進軍します。

アルヴィーノが娘を救出するが、娘は虐殺を非難する

再びアッチャーノ(アンティオキア国王)の宮殿
ジゼルダは亡き母を偲び、異教徒(オロンテ)に恋をしてしまったことを歌っています。(O madre, dal cielo soccori)

「O madre, dal cielo soccori... Se vano è il pregare」

そこにアルヴィーノ率いる十字軍が攻め入ってきます。
ジゼルダは父との再会を喜ぶ一方、イスラム教徒を虐殺し血にまみれた父にショックを受けます。

ジゼルダは「血を流すことは神の本意ではありません!」と十字軍を非難します。
アルヴィーノは怒り娘を殺そうとし、皆がそれを止める中で2幕が終わります。

第3幕(改宗):『ロンバルディ』あらすじ

ジゼルダはとオロンテの再会

ジョザファットの渓谷
父の陣営を脱出してきたジゼルダの前に、彼女を追ってきたオロンテが現れます。

ジゼルダは「オロンテは十字軍によって殺された」と思い込んでいたため、彼との再会に喜びます。
十字軍が追ってくる中、二人は愛を語りあい逃亡することを決意します。

アルヴィーノの怒り

アルヴィーノの陣営
アルヴィーノ(ジゼルダの父)が娘への怒りをあらわにする中、十字軍から「パガーノ(弟)を見つけた」との知らせが入ります。
そして、彼の怒りはますます大きくなっていきます。

オロンテがキリスト教に改宗し、息を引き取る

ヨルダン川の洞窟
ジゼルダとオロンテは逃亡していますが、オロンテは既に瀕死の状態です。
そこに行者が現れ、オロンテは洗礼を受けます。

キリスト教に改宗したオロンテは、喜びの中で息を引き取ります。

第4幕(聖なる墓):『ロンバルディ』あらすじ

兄弟(アルヴィーノとパガーノ)の和解

イェルサレム近くの洞窟
ジゼルダの夢の中に、オロンテが登場します。
夢から覚めたジゼルダは十字軍のもとへ向かいます。

十字軍の陣営
イェルサレムへ向かう十字軍が聖地解放を歌います。
やがて行者に連れられてジゼルダもアルヴィーノの軍に合流し、皆は聖地へと向かいます。

アルヴィーノの陣営
戦いで瀕死の状態になった行者が「自分がパガーノ」であることを、アルヴィーノに告げます。
そして、兄(アルヴィーノ)に許しを請います。

アルヴィーノとパガーノは和解し、十字軍の勝利と共に皆が神を称える中でオペラが終わります。

 

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