目次
邦題 | シモン・ボッカネグラ |
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原作 | アントニオ・ガルシア・グティエレス『シモン・ボッカネグラ』 |
台本 | フランチェスコ・マリア・ピアーヴェ |
初演 | 1857年3月12日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場 |
台本(改訂版) | アッリーゴ・ボーイト |
改訂版初演 | 1881年3月21日 ミラノ・スカラ座 |
演奏時間 | 2時間15分(改訂版) |
『シモン・ボッカネグラ(Simon Boccanegra)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)によって作曲されたオペラです。
ヴェルディ自身は作品に自信を持っていたようですが、初演は大失敗してしまいます。
しかし24年後の改訂版初演(スカラ座)では、見事大成功を収めました。
ここではヴェルディのオペラ『シモン・ボッカネグラ』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
登場人物 | 詳細 |
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シモン・ボッカネグラ(バリトン) | 海賊から、平民派の代表となりジェノヴァ共和国の初代総督になる |
マリア・ボッカネグラ(ソプラノ) | シモンの娘。アメーリアと名乗る |
ヤーコポ・フィエスコ(バス) | ジェノヴァの貴族でシモンの政敵。アンドレアと名乗りアメーリアを育てている |
ガブリエレ・アドルノ(テノール) | ジェノヴァの貴族。アメーリア(マリア)の恋人。 |
パオロ・アルビアーニ(バス) | 平民派。金糸職工から、シモン腹心の廷臣になる |
ピエトロ (バリトン) | 平民派。もう一人の廷臣 |
『シモン・ボッカネグラ』の簡単なあらすじ
時間のない方のための「簡単なあらすじ」
【プロローグ】
平民派と貴族派が争う中、シモンは平民派代表として選挙に勝利し総督となります。
【第1幕】
シモンは「パオロ(腹心)とアメーリア」を結婚させようと考えています。
しかし「アメーリアが生き別れになったシモンの娘」だったことが判明すると、事情が変わります。
シモンはアメーリアの願いを受け入れ、結婚を破断にします。
パオロは激高し、復讐を決意します。
【第2幕】
パオロが毒薬を仕込み、シモンがそれを飲んでしまいます。
一方、ガブリエレ(アメーリアの恋人)は「シモンの政敵」でしたが、「シモンとアメーリアが親子関係」であると知るとシモンに忠誠を示します。
シモンは二人の結婚を許します。
【第3幕】
シモンは毒薬で亡くなり、新総督にガブリエレが就任します。
フィエスコは第1幕以降はアンドレアと名乗り、「シモンの義父」「アメーリアの養父」「アメーリアの祖父」という複雑な事情を持っています。
シモンとフィエスコは憎み合っていましたが、二人は物語の最後に和解します。
プロローグ:『シモン・ボッカネグラ』のあらすじ
シモンがマリアのために「総督選挙出馬」を決意する
14世紀半ばのジェノヴァ:教会前の広場
平民派の2人(パオロとピエトロ)が、「明日の総督選挙に、平民派代表としてシモンを選ぼう。」と話しています。
ピエトロと入れ違いにシモンが登場すると、ピエトロは事の次第を話します。
シモンは最初は乗り気ではありませんでしたが、「総督になれば、宮殿に幽閉されているマリアを救える」と考えて出馬することを決意します。
しかしフィエスコ(マリアの父)の反対で二人は引き離され、マリアは幽閉されてしまいました。
現れた人々もシモンの出馬を了承し、皆は去っていきます。
マリアは既に亡くなっている
一人で現れたフィエスコ(マリアの父)が「私はお前を守れなかった。」とマリアの死を嘆いています。 (Il lacerato spirito)
"Il lacerato spirito"
そこにシモンが現れ、「私を許してください。さもなければ殺しても構いません。」と語ります。
するとフィエスコはマリアが死んだにもかかわらず、「お前たちの子供を引き渡すなら許そう。」と答えます。
しかし「子供が行方不明」だと知ると、フィエスコは冷酷に去っていきます。
諦めきれないシモンは、マリアに会うために宮殿の扉を叩きます。
そして扉の中に入ると、そこにはマリアの亡骸が置かれています。
絶望したシモンが外へ出ると、皆が「総督万歳!」と総督に選ばれたシモンを熱烈に迎えます。
第1幕:『シモン・ボッカネグラ』のあらすじ
シモンの娘は「アメーリアと言う名前」で生きている
ジェノヴァ近郊の海岸:グリマルディ家の庭園
プロローグから25年後
アメーリアが「星や海は惨めな孤児に何というの?」と自分の境遇を歌いながら、恋人ガブリエレを待っています。(Come in quest'ora bruna)
彼女は「自分の素性」を知りません。
シモンの元妻・・・マリア・フィエスコ
シモンの娘・・・アメーリア・グリマルディ(実はマリア・ボッカネグラ)
"Come in quest'ora bruna"
アメーリアはガブリエレと結婚したい
そしてガブリエレが現れて二人になったところに、ピエトロが"総督の使い"として登場します。
ピエトロは「シモン(総督)が"パオロとアメーリアとの結婚話"のためにここに来る」ことを伝えます。
アメーリアは「その前に、ガブリエレと早く結婚してしまおう。」と考えます。
パオロ・・・平民派で、シモン腹心になる
ピエトロ・・・平民派でもう一人のシモンの廷臣
アンドレアが「アメーリアとガブリエレの結婚」を許す
一方、ガブリエレもアンドレア(アメーリアの養父)に「アメーリアとの結婚の許可」を求めます。
フィエスコは名を変えて暮らしており、「アメーリアが自分の孫」だということを知らずに育てています。
アンドレアは「アメーリアは病死した娘の代わりに拾った孤児」であることを語り、二人の結婚を認めます。
シモンとアメーリアの感動の再会
やがてシモンとパオロが到着します。
そしてアメーリアが「幼いころの記憶」を語ると、シモンは「アメーリアが生き別れの娘」であることを確信します。
娘との感動の再会に喜ぶシモンは、すぐに親ばかとなります。
パオロが激高し「アメーリアの誘拐」を決意する
シモンはパオロに対し「結婚話は諦めろ!」と冷たくあしらいます。
パオロは激高し「アメーリアを誘拐する」ことを決めます。
ガブリエレが「アメーリア誘拐犯の一味」を殺し追われている
総督宮殿内の大会議室
平民派と貴族派が会議を開いています。
やがて外が騒がしくなると、ガブリエレが群衆に追われてなだれ込んできます。
ガブリエレは追われてる理由を「アメーリアを誘拐しようとした男(ロレンツィーノ)を殺したからだ。」と語ります。
ガブリエレが投獄される
ガブリエレは「誘拐犯の黒幕はシモン」だと勘違いし、シモンに剣を向けます。
そこにアメーリアが割って入り、「別の真犯人」がいることを語り、パオロをにらみます。
シモンが騒動をおさめ、ガブリエレは「シモンに剣を向けた罪」で投獄されます。
シモンはパオロに「おれは真犯人を知っている。真犯人に呪いをかけろ!」と命じます。
パオロは自分自身に呪いをかけ、恐怖を覚えます。
第2幕:『シモン・ボッカネグラ』のあらすじ
パオロが「シモンの暗殺」を決意する
宮殿内:総督の部屋
パオロは「シモンの暗殺」を決意し、牢獄からアンドレアとガブリエレを呼び出します。
そしてパオロは、シモンの水差しに毒薬を入れます。
アンドレア(フィエスコ)は「シモン暗殺」を断る
パオロはまず最初にアンドレアに暗殺の話を持ち掛けます。
しかしフィエスコはそれを断ります。
ガブリエレが嘘の情報で、シモンに激高する
続いてパオロはガブリエレに暗殺話を持ち掛け、「シモンはアメーリアから快楽を得ている」と嘘を流します。
それに対し、ガブリエレは激高します。(O Inferno)
"O Inferno"
そこにアメーリアが現れ、総督も現れます。
ガブリエレは総督の気配を感じ、身を隠します。
シモンが「アメーリアの愛」に心打たれる
アメーリアはシモンに「ガブリエレを愛している」ことを語ります。
シモンは「アメーリアが自らの政敵(ガブリエレ)を愛している」ことに驚きますが、アメーリアの深い愛に心を打たれます。
そしてシモンは「罪を悔いるなら、彼を許そう。」と語ります。
シモンは、かつてガブリエレの父親を殺した経緯があるため、二人はまさに敵対関係にあります。
シモンが毒を飲んでしまう
一人になったシモンは、毒入りとは知らずに、机の上の水を飲みます。
そして、そのまま眠り込んでしまいます。
ガブリエレが「シモンとアメーリアの親子関係」を知る
そこにガブリエレが現れ、シモンを刺し殺そうとします。
しかし、ちょうどそこにアメーリアが止めに入ります。
目を覚ましたシモンは「お前は私の娘を奪い復讐を果たした。」と語ります。
ガブリエレはそこで初めて二人が親子関係であることに気づき、自らの行動を悔います。
シモンが「二人の結婚」を許す
そのとき外から「シモンへの反乱軍」による騒ぎが聞こえます。
ガブリエレは本来はその一員ですが、彼らの説得を決意します。
それをみたシモンは、二人の結婚を許します。
第3幕:『シモン・ボッカネグラ』のあらすじ
反乱を起こしたパオロに死刑が下る
総督の宮殿内
反乱軍は鎮圧されます。
反乱に加わったアンドレア(フィエスコ)は放免されますが、パオロには死刑が下されます。
パオロはフィエスコに「シモンに毒を飲ませたから、あいつは間もなく死ぬだろう。」と語ります。
対照的に、宮殿の外からは「アメーリアとガブリエレの結婚」を祝福する歌声が聞こえてきます。
シモンとフィエスコが和解する
よろめくシモンが登場すると、アンドレアが彼に近づき「自分の正体がフィエスコ」であることを明かします。
それに対し、シモンは「アメーリアこそ私の娘だ。」と告白します。
二人は長い時を経てようやく和解します。
「アメーリアの結婚」と「シモンの死」
そこに結婚式を終えたアメーリアとガブリエレが入ってきます。
アメーリアは「アンドレアが実の祖父だった」ことを初めて知ります。
そして瀕死のシモンは「総督の後継者をガブリエレに任命する。」という遺言を残し、息絶えます。
フィエスコ(アンドレア)が市民に「総督の死」と「新総督の誕生」を告げる中で、オペラは終わります。
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