題名 | ルイザ・ミラー |
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初演 | 1849年12月8日 サン・カルロ劇場(ナポリ) |
原作 | フリードリヒ・フォン・シラーの戯曲『たくらみと恋』 |
台本 | サルヴァトーレ・カンマラーノ |
演奏時間 | 2時間15分 |
『ルイザ・ミラー(Luisa Miller)』は、ジュゼッペ・ヴェルディ(Giuseppe Verdi/1813年-1901年)の14作目のオペラで、彼の中期の作品です。
これまでイタリアの愛国心を多く打ち出してきたヴェルディのオペラにとっては珍しく一般市民(村娘)が主役となっているオペラでもあります。
台本作家のカンマラーノは、これまでの革命的な色合いを避けるようヴェルディに提言したそうです。
初演は成功を収めましたが、その後ヴェルディがサン・カルロ劇場のためにオペラを書くことはありませんでした。
ここではヴェルディのオペラ『ルイザ・ミラー』のあらすじを紹介したいと思います。
主な登場人物
登場人物 | 詳細 |
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ルイザ・ミラー(ソプラノ) | 村娘。ロドルフォと相思相愛。 |
ミラー(バリトン) | ルイザの父 |
ヴァルター伯爵(バス) | 領主 |
ロドルフォ(テノール) | 伯爵の息子。ルイザにはカルロと名乗っている。ルイザと相思相愛。 |
ヴルム(バス) | 伯爵の秘書 |
フェデリカ(メゾソプラノ) | 公爵未亡人 |
『ルイザ・ミラー』簡単なあらすじ
時間のない方のための「簡単なあらすじ」
【第1.2幕】
ルイザ(村娘)とロドルフォ(伯爵の息子)は相思相愛の仲です。
しかし身分違いの恋のため、伯爵によって仲は引き裂かれます。
さらにルイザの父親(ミラー)が逮捕されると、ルイザは父の命を救うために「私はヴルム(伯爵の秘書)を愛している」と、嘘をつきます。
【第3幕】
裏切られたと勘違いしたロドルフォは毒を飲み、ルイザにも毒を飲ませます。
死を前にしたルイザは「私は本当はロドルフォを愛しているの。父の命のためにやらされたのよ。」とすべてを告白します。
そしてルイザとロドルフォが息絶えたところで、オペラが終わります。
第1幕:『ルイザ・ミラー』あらすじ
父ミラーが「娘ルイザとカルロの恋」を不安がる
ミラーの家
ルイザの誕生日が村で祝われています。
しかし、そこには恋人カルロの姿はありません。
父ミラーは「身分違いの恋でなければいいが…誰もカルロの素性を知らなんだぞ。」とルイザの恋を心配しています。
ここでは、ロドルフォはカルロという別の名を名乗っています。
やがてカルロが現れると、二人は「この世を去っても、天国でも私たちは愛し合うでしょう!」と愛を確認し合います。
それを見た父ミラーは不吉な予感に襲われます。
ミラーが「カルロの正体が、ヴァルター伯爵の息子」だと知り、嘆く
ミラーを除いた皆が教会に向かうと、ヴルム(ヴァルター伯爵の秘書)が現れます。
ヴルムはミラーに「1年前、私とルイザの結婚に反対しないって言ったよね!?」と嫉妬心をあらわにします。
ミラーは「それは娘があなたを愛していればの話ですよ。」と返します。
するとヴルムは「カルロの正体は、お前の領主のヴァルター伯爵のご子息なんだぞ!」と告げます。
ミラーは「ああ、私の疑いは正しかったんだ!」と怒りと悲しみをあらわにします。(Ah! fu giusto il mio sospetto!)
『Ah! fu giusto il mio sospetto!』
ヴァルター伯爵が「息子ロドルフォ(カルロのこと)とフェデリカとの結婚話」を持ってくる
ヴァルター伯爵の城
ヴルムがヴァルター伯爵に「ご子息が恋に夢中になっています。」と告げ口をします。
ヴァルターは怒り、ロドルフォ(カルロのこと)を呼び出します。
ヴァルターは「フェデリカ(公爵未亡人)との結婚話を持って来たぞ。お前の宮廷への道も開かれるぞ。これは命令だ。」とロドルフォに告げます。
ロドルフォの抵抗も聞き入れられず、やがてフェデリカが到着します。
フェデリカが「ロドルフォの恋愛事情」を知り怒る
ロドルフォとフェデリカの二人きりになります。
ロドルフォは「実は別に運命の人がいるんです。許してください。」と告白します。
すると、フェデリカは「武器を持ってるなら私を刺しなさいよ!」と怒って去っていきます。
ルイザが「カルロの正体と婚約」を知る
ミラーの家の中
ルイザが「来てくれるって言ってたのに、カルロが来ないわ…」と心配しています。
そこにミラーが血相を変えて現れます。
ミラーは「悪い予感が的中したぞ!カルロの正体はヴァルター伯爵の息子だ。しかも、花嫁が到着して、もう結婚の準備をしているぞ!」と告げます。
ロドルフォがルイザに釈明する
ルイザが取り乱しているところに、ロドルフォ(カルロのこと)が現れます。
ロドルフォは「私は君の夫だ、心配しなくていい!」「私は父(伯爵)の秘密を握っている。だから父も従うはずだ!」と語ります。
そこにヴァルター伯爵が激怒して現れます。
伯爵によって、ミラーが捕えれれる
ロドルフォとヴァルター伯爵は平行線をたどり、一触即発となります。
そこに軍隊と農民たちがなだれ込んできます。
ヴァルター伯爵は怒りを抑えきれず、「ミラーとルイザの逮捕」を部下に命じます。
するとロドルフォが「皆にお前(父)の秘密をばらすぞ!」と脅します。
するとヴァルター伯爵は、仕方なくルイザだけを自由にします。
第2幕:『ルイザ・ミラー』あらすじ
ルイザが「私はヴルムを愛しています。」と言う手紙を無理やり書かされる
ミラーの家の中
ルイザのもとに「ミラーが鎖につながれてひどい仕打ちを受けている」という知らせが入ります。
そこにヴルムが現れます。
ヴルムは「手紙を書けば、お前の父を釈放させてあげるよ。」とルイザに語ります。
ルイザは「こんなの書けないわ!期待しても無駄よ。」と抵抗します。
しかし、父の命を引き換えに脅され「卑怯者!すぐにお父様を返してよ!」と泣く泣く手紙を書きます。(Tu puniscimi, o Signore / A brani, a brani o perfido)
『Tu puniscimi, o Signore / A brani, a brani o perfido』
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【手紙の内容】
ヴルム様へ
私はロドルフォを愛したことはありません。
私はヴルム様への愛に戻りたいのです。
ロドルフォの怒りを避けるために一緒に逃げましょう。
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そしてルイザは「自分の意思でその手紙を書いた」と誓わされます。
ヴルムは「手紙の内容を証明」させるために、ルイザを城に連れていきます。
伯爵とヴルムは、かつて先代の伯爵を暗殺していた
ヴァルター伯爵の城
ヴルムが
「予定通り進んでます。ルイザも観念しましたよ。」
「あの手紙もロドルフォに渡る予定です。」
と、ヴァルター伯爵に語っています。
伯爵は
「ロドルフォは私たちが先代の伯爵を暗殺したことを知っているんだ。」
「もしばれたら、私とお前は処刑台だな。」
と返します。
ヴルムは「秘密がばれている」ことを初めて知り、恐怖を覚えます。
ルイザが「ヴルムを愛している」と嘘の告白をし、フェデリカが喜ぶ
そこにフェデリカが現れます。
伯爵は
「ロドルフォの恋の妄想はもうじき終わるよ。」
「ルイザもロドルフォのことは愛していないし。」
とフェデリカに語ります。
そしてヴルムが証人としてルイザを連れてくると、
ルイザは「私はヴルムを愛しています。」と嘘の告白をさせられます。
それを聞いたフェデリカは「こんな喜びは今まで感じたことはないわ!」と喜びます。
ロドルフォが「ルイザが裏切った」と勘違いする
ロドルフォに「ルイザが書いた手紙」が届けられます。
ロドルフォは「ルイザが裏切った」と勘違いし、「あの涙は何だったんだ!私を裏切ったのか!」と嘆き怒ります。(Oh! fede negar...Quando le sere al plácido)
『Oh! fede negar...Quando le sere al plácido』
そこに伯爵が現れます。
伯爵は「他の女(フェデリカ)と結婚して、ルイザに復讐してやれ。」と息子に語ります。
混乱するロドルフォは「天国もルイザなしでは地獄だ!」と嘆きながらも、フェデリカとの結婚に同意します。
第3幕:『ルイザ・ミラー』あらすじ
ミラーが釈放されて戻ってくる
ミラーの家
ルイザのもとに、釈放されたミラーが帰ってきます。
ミラーは「ルイザが死のうとしている」ことを知ります。
ミラーは「やめてくれ!墓に先に行くのは親だ!」と娘を諭します。
ルイザが生きることを決意すると、ミラーとルイザは「夜明けに村を出て、放浪の旅に出る」ことを決めます。
ロドルフォとルイザが毒薬を飲む
ミラーと入れ替わりに、ロドルフォが現れます。
ロドルフォはカップにそっと毒薬を盛ります。
そしてルイザに手紙を見せ「あなたがこの手紙を書いたのですか?」と問います。
ルイザは「はい」と答えます。
ロドルフォは絶望し、毒薬を飲み干します。
そして、ルイザにも毒薬を飲ませます。
ルイザが真実を告白し、ロドルフォが運命を嘆く
ロドルフォは「あなたは私と一緒に死ぬ薬を飲んだ。」と告白します。
するとルイザは、全ての束縛から解放され、
「本当は手紙は無理やり書かされたの。父の命を救うために。」
と告白します。
ロドルフォは衝撃を受け「呪われろ、私の血よ父よ!」と運命を嘆きます。
ルイザとロドルフォの死
そこにミラーが駆けつけます。
ルイザは「お父様、最後のお別れをさせて」「ロドルフォ、天が私たちを導いてるわ。」と語ると、息を引き取ります。
さらに伯爵とヴルムも現れます。
ロドルフォはヴルムを見るとすぐに剣を持ち、ヴルムを刺し殺します。
そして伯爵に「あなたの天罰を見ろ!」と叫ぶと、ロドルフォはルイザの横で息絶えます。
そして悲痛な悲しみの中でオペラが終わります。
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