項目データ
初演1887年2月5日 ミラノ・スカラ座
原作ウィリアム・シェイクスピアの悲劇『オセロ』
台本アッリーゴ・ボーイト
演奏時間2時間20分

ヴェルディのオペラ『オテロ (Otello) 』は、1887年に初演された彼の最晩年の作品です。
台本はアッリーゴ・ボーイトが書きました。
ボーイトはヴェルディ最後のオペラ『ファルスタッフ』の台本も書いています。

 ボーイトは、オペラ台本作家としてだけではなく、オペラ『メフィストーフェレ』の作曲者としても知られています。

すでに隠居生活を送っていたヴェルディはオペラ作曲には積極的ではなく、彼が本格的に作曲をするまでにはしばらく時間がかかりました。
ヴェルディとボーイトは5年以上にわたって意見交換をおこない、やり取りした手紙の数は45通を数えたそうです。

スカラ座での初演は一大イベントとして盛り上がり、観客にはイタリア歌曲の作曲家として有名なトスティの姿もありました。
主役のオテロを歌ったフランチェスコ・タマーニョはこの初演で超一流歌手としての地位を築き、世界中の歌劇場がオテロ役として彼を配役したがったそうです。

ここでは、そんなヴェルディ『オテロ』のあらすじを紹介したいと思います。

登場人物

登場人物詳細
オテロ(テノール)ムーア人。ヴェネツィア領キプロスの総督
デズデーモナ(ソプラノ)オテロの妻
イヤーゴ(バリトン)オテロの旗手
カッシオ(テノール)オテロの副官
ロデリーゴ(テノール)ヴェネツィアの貴族
ロドヴィーコ(バス)ヴェネツィアからの使者
モンターノ(バス)キプロスの前総督
エミーリア(メゾソプラノ)イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中

ヴェルディ『オテロ』の簡単なあらすじ

時間のない方のための「簡単なあらすじ」


【第1-3幕】
イヤーゴは「オテロが(自分ではなく)カッシオを副官に任命した」ことに不満を持ち、オテロを憎んでいます。
しかし、オテロは「イヤーゴが自分を恨んでいる」ことは知らず、彼を信用しています。

 オテロ:ヴェネツィア領キプロスの総督
イヤーゴ:オテロの旗手
カッシオ:オテロの副官

イヤーゴは、カッシオを策略にはめて副官をクビにします。
さらにカッシオをデズデーモナ(オテロの妻)のもとに向かわせ、「二人が浮気している」とオテロに勘違いさせます。


【第4幕】
嫉妬に狂ったオテロは、妻を絞め殺してしまいます。

しかし復讐はすべて上手くいくわけではありません。
イヤーゴの策略は明るみになり、彼は捕えられます。

オペラの最後は、オテロが絶望し、短剣で自らの命を絶ったところで終わります。


第1幕:ヴェルディ『オテロ』のあらすじ

オテロの帰還

キプロス島の港

嵐の中、皆が祈りを捧げながらオテロの帰りを待ちわびています。

 オテロ:ムーア人。ヴェネツィア領キプロスの総督

嵐が静まりオテロが到着すると、皆は「万歳!オテロ!勝ったぞ!・・」と彼を迎えます。

オテロを憎むイヤーゴが復讐を企てる

 イヤーゴ(バリトン):オテロの旗手
ロデリーゴ(テノール):ヴェネツィアの貴族

そんな中、ロデリーゴは"オテロの妻デズデーモナ"に恋をしていることで、思い悩んでいます。
そこにオテロを憎むイヤーゴがこっそり現れ、ロデリーゴの力になると約束します。

 イヤーゴは「オテロが(自分ではなく)カッシオを副官に任命した」ことに不満を持ち、オテロを憎んでいます。

カッシオが副官を解任される

酔っぱらったカッシオが前総督モンターノに剣を向ける

やがて、お祝いの宴会が始まります。

イヤーゴはカッシオ(オテロの副官)に酒を飲ませ泥酔させます。

酔っぱらったカッシオは千鳥足になり、皆の笑いの的になります。
さらにカッシオは、ロデリーゴに馬鹿にされたことでむきになり、剣を抜きます。

そこにキプロスの前総督モンターノが仲裁に入りますが、酔ったカッシオはモンターノに剣を向け、彼を傷つけてしまいます。

オテロが登場し、カッシオを解任する

そこにオテロが登場します。
オテロはイヤーゴから事の成り行きを聞くと、カッシオを副官から解任します。
イヤーゴは"カッシオが解任された"ことを喜びます。

 オテロは「イヤーゴが自分を恨んでいる」ことは知らず、彼を信用しています。

辺りは静かになり、オテロと妻デスデーモナの二人となります。
二人の愛の二重唱が歌われます。(Già nella notte densa)
やがて二人は抱き合うと、城へと進んでいきます。

「Già nella notte densa」

第2幕:ヴェルディ『オテロ』のあらすじ

イヤーゴがカッシオを策略にはめる

城の中の広間

カッシオは「副官をクビになった」ことで落ち込んでいます。

そこにイヤーゴが現れ
「デズデーモナに取り計らってもらうよう頼むのが一番だ。」
「彼女は休みになると、私の妻と一緒にあの木陰を散歩しているよ。」
とアドバイスします。

カッシオが去ると、イヤーゴは「おれこそ悪魔だ!おれは極悪非道だ!」の胸の内を歌い上げます。(Credo in un Dio crudel)

「Credo in un Dio crudel」

イヤーゴがオテロの嫉妬心を駆り立てる

デズデーモナがエミーリアを連れて、庭に現れます。
カッシオはデズデーモナに近づき、「オテロの許しをえてほしい」と頼みます。

 エミーリア:イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中

そこにタイミングよくオテロがイヤーゴの近くに現れます。
イヤーゴは二人の仲を疑わさせ、オテロの嫉妬心を駆り立てます。

オテロが「カッシオとデズデーモナの関係」を疑う

デズデーモナはオテロを見つけると、「カッシオを許してあげてください。」と頼みます。
しかし嫉妬に狂ったオテロはそれを断り、さらには彼女の差し出したハンカチを払いのけます。

エミーリアがハンカチを拾い上げますが、それをイヤーゴが奪い取ります。

舞台はオテロとイヤーゴの二人となります。
オテロは嫉妬に苦しみ、「私はデズデーモナを信じている。だが、浮気の証拠はないのか!?」とイヤーゴに語ります。

イヤーゴは「カッシオが寝言で"優しいデズデーモナ!私たちの愛は誰にも知られていません"と言っていた。」と嘘をつき、さらに嫉妬心をあおります。
さらには「カッシオが"デズデーモナのハンカチ(結婚記念)"を持っているのを見た。」と語ります。

オテロは怒り狂い、忠誠を誓うイヤーゴと共に復讐に燃えます。(Si, pel ciel)

「Si, pel ciel」

第3幕:ヴェルディ『オテロ』のあらすじ

オテロが嫉妬に狂い、再びデズデーモナを罵倒する

城の大広間

オテロとイヤーゴが話しているところに伝令が現れ、「ヴェネツィアの使節の船が到着ました。」と知らせます。
イヤーゴは「ここにカッシオを連れてきて、浮気の証拠を見せましょう。」「あなたは隠れてみててください。」とオテロに告げます。

イヤーゴが去ると、続いてデズデーモナが現れます。
デズデーモナが再び"カッシオへの許し"を求めるので、オテロは気分を害します。

そして「結婚記念のハンカチを見せてくれ!」とデズデーモナに詰め寄ります。
デズデーモナが「今は持っていない」と語ると、オテロは嫉妬心をあらわにし「地獄に落ちろ!卑しい娼婦!」と叫びデズデーモナを追い出します。
オテロは自分の運命を嘆き悲しみます。

イヤーゴの策略に、オテロが見事に騙される

カッシオを連れて、イヤーゴが現れます。
オテロは予定通り、物陰に隠れます。

カッシオとイヤーゴは、カッシオの恋人ビアンカの話をします。
遠くで話の内容が聞き取れないオテロは、それをデズデーモナの話だと勘違いします。

続いてカッシオは"イヤーゴがこっそり入れておいた"デズデーモナのハンカチを、それとは知らずに取り出します。
オテロは「愛も苦しみも、すべて無くなった!」と嘆きます。

その時ヴェネツィアの使節の到着の一方が届くので、カッシオはその場を去ります。

イヤーゴが「倒れ込むオテロ」を見て、勝ち誇る

物陰からオテロが出てきて、イヤーゴに「デズデーモナを殺してやる。」「お前は副官にしてやるよ。」と語ります。

そこにヴェネツィアの使節が現れます。
オテロはカッシオに自分の総督の後任を命じますが、自制心を保つことができません。
オテロはデズデーモナを突き飛ばすと、怒りで狂ってしまい倒れ込みます。
イヤーゴは意識を失ったオテロを指さし、勝ち誇ります。

第4幕:ヴェルディ『オテロ』のあらすじ

オテロがデズデーモナを絞め殺す

デズデーモナの寝室

デズデーモナは死を予感(『柳の歌』)しており、エミーリアがその気を紛らわせています。
デズデーモナはエミーリアに別れを告げると、祈りを捧げベットに入ります。(『アヴェ・マリア』)

『柳の歌』

そこにオテロが現れデズデーモナにキスをすると、デズデーモナは目を覚まします。
デズデーモナは自分の無実を訴えますが、オテロは聞く耳を持ちません。
オテロはデズデーモナの首を絞め、殺してしまいます。

イヤーゴの策略がすべてばれる

そこにエミーリアが「ロデリーゴがカッシオを殺そうとしたが、逆に殺された!」と部屋に現れます。
エミーリアは「デズデーモナが殺された」ことを目の当りにし、叫び声をあげます。
その叫び声に反応し、皆も部屋に集まってきます。

エミーリアはハンカチの件について語ります。
駆けつけたモンターノは「ロデリーゴが死ぬ前に、イヤーゴの策略を白状した。」と告げます。
策略がばれたイヤーゴは逃げ出し、それを兵士が追います。

オテロが自らの命を絶つ

絶望の中、オテロは短剣で自らを刺します。
そしてデズデーモナに口づけをしようと、彼女に向かう中で息絶えます。

『オテロ』の映像

2001年12月:ミラノ・スカラ座

オテロ歌いを語るうえで外すことのできない名手ドミンゴによる『オテロ』です。
ムーティ(指揮)、ヌッチ(イアーゴ)、フリットリ(デズデーモナ)と超豪華キャストが揃った名盤です。

役名等演奏
オテロプラシド・ドミンゴ
イアーゴレオ・ヌッチ
カッシオチェーザレ・カターニ
ロデリーゴアントネッロ・チェロン
デズデーモナバルバラ・フリットリ
演奏ミラノ・スカラ座管弦楽団&合唱団
指揮リッカルド・ムーティ
演出グレアム・ヴィック

その他の曲目一覧(目次)

その他の作品・あらすじ・歌詞対訳などは下記リンクをクリックしてください。

クラシック作品(目次)

オペラ作品(目次)

ミュージカル作品(目次)

歌詞対訳(目次)

ピアノ無料楽譜(目次)