口の開け方は、母音によって変わります。
「ア・オ・ウ」は口腔内を比較的広く開けます。
それに対し「イ・エ」は口腔内のスペースは狭いです。
「イ・エ」は狭い母音ともよく言われます。
また母音は舌の状態も大きく関係します。
「ア・オ・ウ」のとき、舌根は比較的下の方に位置しています。
それに対し「イ・エ」のときには、舌根は上がった状態になります。
しかし、同じ母音であっても音程・強弱によって「開け方を調整する」必要があります。
同じ母音でも、音程によって口の開き方が変わります。
高音になると口のスペースは広くなります。
高音域になると「口腔内により広い空間」をとる必要があります。
「ア・オ・ウ」に関しては中音域から口腔内のスペースは広くあります。
高音域になっても、それほど違和感は感じないでしょう。
「イ・エ」も高音では口の中が大きくなる
しかし「イ・エ」の場合は、音域による口腔内のスペースの変化がはっきりしています。
慣れていない場合や、まだ感覚をつかめていない場合には「こんなに開けていいのかな?」と感じることもあります。
ただし「開けすぎ」は禁物です。
発音が正しく聞き取れる範囲で適切に口腔内を調整していきます。
口腔内のスペースを広くした結果、それが力みにつながらないように注意しましょう。
母音によって口の開け方は調整することに、最初は慣れないかもしれません。
最終的には、母音の違いを意識することなく自然に歌えることが目標です。
顎を下げるのも有効
また喚声点を越えてミックスボイスにさしかかる辺りからは「あごを少し下げてさらに空間を確保」した方が出しやすいこともあります。
そのときは自然の範囲内で「少しだけ」顎を下げてください。
不自然にガクッと下げると反対にスムーズに移行しにくくなります。
あごを下げて力むことはNGです。
声量をあげると口のスペースは広くなります。
また一般的に、同じ音域でも声量が大きくなるほど「口の中のスペースが広くなる」傾向があります。
これらを加味し「口の形を固定せずに」その時々で「適せつな口の形」で発声をしましょう。
声が自由に扱える場所が理想
ただし、歌手はこれらの法則のすべてに従う必要はありません。
このことをあくまで基本としながら、
- 不必要な緊張がなく
- のびのびと
- 自由に
歌える場所を探してください。
くれぐれも口の形は固定しないようにしてください。
口の形が固定されてしまうと、正しい音色が出ないばかりではなく「自由さ・柔軟さ」が声になくなってしまいます。