「話すように歌うこと」はとても大切なことです。
ボイストレーニングの際に「話すように歌って!」や、反対に「歌うように話して!」と指導を受けた方もいるのではないでしょうか。
しかしそれは、「バランスのとれた声で」「力まずに」「自然な状態で」歌いましょうという意味です。
多くの日本人は、話すように歌う方法ではうまくいきません。
普段から歌唱に近い方法で話していれば、話すように歌ってください。
「良い話し声」は、歌声に通じるところがあります。
とてもよく響く話し声を持った人も中にはいます。
「柔らかく遠くまで響く声」で話す人は、歌うために必要な筋肉を話し声でも使っている場合が多いです。
そのような人にとっては、「話すように歌う」ことが、歌を上手に歌う近道かもしれません。
日本語は「話すエネルギー」が小さすぎる。
話すように歌うとは、「六畳の部屋で話している状態」のような話し方ではありません。
特に日本語はとても小さいエネルギーで話される傾向があります。
話し声が美しい日本人の割合は、決して多くありません。
多くの人はボソボソと、歌に直結しにくい声で話しています。
しかし、歌うときにはもっと大きなエネルギーを必要とします。
ボソボソ声は、歌う筋肉をほとんど使っていません。
そのため、「話すように歌うこと」は「歌のテクニックを悪い方向に進める」危険性があります。
話すように歌うとは「整った美しい話し声のように歌う」ことだと考えてください。
ただ、普段からイタリア人やラテン系の人のように元気に明るく話している人もいます。
その場合、話すように歌ってもいいでしょう。
歌声を覚えてから話し声を修正するパターン
話し声は美しいことがベストです。
しかし、どう試みても上手くいかない人もいるでしょう。
そういう時は、話し声を忘れて「歌の練習」に励んでください。
高音の発声はテクニック的にも難しいですが、話し声の音域なら比較的早い時期に「自分の歌声」が見つかります。
歌声が見つかったら、歌うように話してください。
楽に明るく響き、声に負担なく発声できる場所を探しましょう。
喉頭を上げると響きが上にいきやすいですが、喉頭は操作しないでください。
喉頭は上下せずに自然な状態にあります。
その美しい中音域の発声を見つけた後に、話し声を修正すると以前より良い方向へ進みやすくなります。
「歌声がわかった結果、話し声が美しくなる」ことができれば、とても素晴らしいことです。