ここではミックスボイス発声時における一般的な感覚について取り上げてみます。
ミックスボイスと言うと特殊な印象を受けますので、高音をだすときの感覚と捉えてください。
高音で特別な発声をするわけではなく、全音域でバランスの取れた発声を意識してください。
地声=口腔内、裏声=上の方
口内で響く地声
チェストボイス(胸声・地声)で歌っているとき、「口から声が出ている感覚」があります。
話し声と近い感覚です。
男性の声が低い方などは「胸に声が響いている」感覚もあります。
チェストボイスと呼ばれる所以です。
反対に声の高い女性は、口より少し上に響きを感じる場合もあります。
上に抜けていく裏声
裏声は口からではなく「口の奥から上の方へ(頭の上または斜め後ろ)声が抜けている感覚」があります。
声が一か所に留まらず、遠くのほうへ飛んで行っているような感覚です。
もし裏声が口の中で渦巻いているような感覚ならば、裏声自体を力んだまま出している可能性があります。
そのときは裏声の感覚から掴む必要があります。
ヘッドボイスは頭に響きを感じることからその名で呼ばれています。
どのような発声がヘッドボイスを指すのかは、議論が別れますのでここでは省きます。
感覚は個人差がある
いずれも感覚ですので個人差はありますが、皆さんもこれに近い感覚があると思います。
チェストボイスが「胸から出ている。」
ヘッドボイスも「前方に出ている。」
と感じる人も中にはいるでしょう。
ミックスボイスは口腔内の響き+上へ突き抜ける響き
しかし、ミックスボイスでの感覚は
①チェストボイスと同様に、口から声が出ている感覚があります。
そして
②チェストボイスではあまり感じられない「ヘッドボイスのような、上に突き抜ける感覚」もあります。
地声の感覚も、裏声の感覚も両方備えています。
ミックスボイスと言われる所以の一つかもしれません。
地声と全く同じ感覚ではミックスボイスは出ません。
また同様に裏声と全く同じようにもミックスボイスは出ません。
人によっては「新しい感覚」に感じる
ミックスボイスを見つけていない人がそれを初めて感じるときは、「今までとは違った独特な感覚」かもしれません。
その独特な状態を「地声もたくさん出していて」「裏声もたくさん出している」感覚だと言う人もいます。
地声と同じ感覚のまま高音が出る人は、それは「ただ無理やり高音を出している」可能性もあります。
高音を歌うたびに負担を感じる場合は、違ったアプローチが必要かもしれません。
一方で、地声と同じ感覚で素晴らしい声を出している方もいます。
「裏声で声帯を閉じる」は判断が必要
裏声の発声で声帯を閉じるとミックスボイスだという話もよく聞きます。
場合によってそれは「息漏れのない裏声」だけの可能性もあります。
もちろん正しい発声の可能性もありますが、裏声の声帯を閉じて完成とするのは少しリスクがあります。
このような感覚で歌っている方は、信頼のおける第3者に一度聴いてもらうことをお勧めします。
高音だけが特別な発声法(ミックスボイス)ではない
中低音域は話し声の延長でも歌えます。
しかし、話し声のままのテクニックで歌うと高音へ上手く移行することが難しくなります。
高音域のミックスボイスと同じような歌い方で、低音域も歌うことが大切です。
「中音域の歌い方」「高音域の歌い方」と発声を分けて歌うことは好ましくありません。
最終的には低音から高音まで自分自身では同じような感覚で歌えるようになることが理想的です。