音に対する身体的感覚は十人十色です。
歌うときに身体のどこに音の感覚があるでしょうか?
下記にある書籍から拝借し、実際のかつての著名な歌手たちの音の感覚に対する情報を記載します。
ウィザスプーン
★鼻の中の下の後方にほとんどの音を感じた
カルーソー
★両脚に鈴のなるような感覚を感じた
ジーン、デュ、レシュケ
★顔面に振動を感じた
この三人だけを比べてもかなり異なった表現で感覚を表しています。
他にもよくある感覚としては
★唇で話しているように感じる
★鼻の付け根の空間で音を感じる
★目の裏(頭の内部)に感じる
★声を後ろに飛ばしていくような感覚がある
など挙げられ感覚は様々です。
※ただし多くの人たちにとって共通している感覚も多くあることは事実です。
感覚は決めつけず、色々試してみましょう。
もし感覚として自分にあったものを教えられた場合は好結果を生むかもしれません。
しかし、感覚に頼りすぎることは建設的とは言えません。
いずれにせよ発声のメカニズムは共通しています。
一方で「様々な感覚を感じる」ことは歌うためにはとても大切でなことです。
自分の感覚を大切にもちながらも、それだけにとらわれずに「理論的にも考えながら」ボイストレーニングをおこなっていきましょう。
よくある共通の感覚
感覚は人それぞれだとしても、一般的な共通の感覚はあります。
それらを少し紹介したいと思います。
息が流れている
良い発声でも、悪い発声でも声が出ている限り理論上は息は流れています。
しかし、良い発声のほうがよりスムーズに息が流れているように感じます。
そして息を流すように歌ったほうが発声が良い方向へ進むことが多いです。
鼻腔に響きが集まる
多くの歌手が鼻腔に音の響きを感じています。
そしてその鼻腔の響きを感じる状態を維持したまま歌を歌っています。
同様に「響きを集める」という言葉もよく使われます。
これも実際に響きが1点に集まっているような感覚があります。
これは自然な発声の中で感じるものです。
無理やり音をギュッとつぶして、集めているわけではありません。
軟口蓋に声をあてる
実際に軟口蓋に声がレーザービームのようにぶつかるわけではありません。
しかし、軟口蓋に音の焦点があるかのように感じることがあります。
これは低音より高音のほうがより感じる傾向があるようです。
声を遠くに飛ばす
ボイストレーニングの表現においても「声を飛ばす」という表現はよく使われます。
バランスのとれた発声をしたときには、声がその場にとどまらず遠くの彼方まで飛んでいくようなリリース感が生まれます。
もちろん理論上は声帯で発生した音が共鳴腔を使って響いているだけにすぎません。
他にも様々な感覚があります。
自分に合った表現や感覚を取り入れていきましょう。